2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17J01429
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石関 彩 千葉大学, 大学院理学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | メビウス・エネルギー / 結び目のエネルギー / エネルギーの分解 / 変分公式 / 勾配流 |
Outline of Annual Research Achievements |
メビウス・エネルギーはO'Haraエネルギーの一つである。今年度の研究は、石関-長澤の分解(Kodai Math. (2014), J. Knot Thoery of Ramifications (2016))が、O'Haraエネルギーに対しても成り立つかどうかを調べたものである。メビウス・エネルギー以外のエネルギーは一般にメビウス・不変性を持たない。従って、余弦公式に相当するものは知られていない。しかし、メビウス・エネルギーの分解は、余弦公式を経由せずに示せたうえ、分解が「曲がり具合」と「ねじれ具合」を測るというメビウス・不変性以外の幾何学的性質を持つため、O'Haraエネルギーでも同種の分解が成り立つと考えるのは自然である。 実際、O'Haraの (α,1)-エネルギーについて、2≦α< 3の場合に同様の分解が成り立つことが示された。但し、分解の第3項は絶対定数でなく長さのみで決まる定数となる。α= 2の場合はエネルギーがスケール不変になるため、これが長さにも依らない定数となり、絶対定数になるという構造が明らかになった。O’Hara (1994)によれば、α≧2はエネルギーが自斥性を持つための条件であり、α< 3は任意の滑らかな自己交叉を持たない閉曲線に対してエネルギーが有限になるための条件である。従って、2≦α< 3は、(α,1)-エネルギーが結び目のエネルギーとして機能する場合と言える。 更に、O'Haraエネルギーのべき乗を単調増加関数に置き換えたエネルギー(一般化されたO'Haraエネルギー)についても適当な条件下で分解定理が成り立つことが示された。 これは、長澤 壯之 (埼玉大学)との共同研究による成果で、共同研究者により、国内外の複数の研究集会と日本数学会で成果発表された。また、論文として纏め、学術誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年次計画として予定していた研究内容とは異なるものの、関連する内容の研究をほぼ遂行でき、論文投稿も行った。 また、本研究課題の遂行にあたり有力な助言者である Von der Mosel氏を訪問し、研究集会への参加および研究連絡を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目に行う予定だった研究内容を引き続き2年目にも行う。2年目に行う予定だった研究内容は、1年目に得た成果から同時進行で行うことが可能である。
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