2017 Fiscal Year Annual Research Report
孔辺細胞・副細胞間コミュニケーションによる気孔制御機構
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17J01435
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 將 九州大学, システム生命科学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 環境応答 / 気孔 / 二酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
気孔開口を駆動する孔辺細胞プロトンポンプAHA1は、細胞質から細胞膜への局在化プロセスによって、その活性の一部が調節されていることが明らかにされている。この局在化には、神経細胞における神経伝達物質の放出を調節するMunc-13タンパク質様の因子PATROL1が関与し、この因子の細胞質から細胞膜近傍への移動によって執り行われる。PATROL1の動態は、Phosphatidylinositol 4-kinase (PI4K) 阻害剤であるPAOによって阻害されることが報告されていることから、PATROL1を介した気孔の環境刺激の感知・応答に、セカンドメッセンジャーや膜交通に関わる因子が関与しているのではないかと考えられた。本年度は、気孔の環境応答に関わる制御物質を探索するために、様々なセカンドメッセンジャーや膜交通に対する阻害剤の存在下で、高CO2処理、暗処理、また、気孔閉鎖を促す植物ホルモンであるアブシジン酸 (ABA) の処理を行った場合の気孔応答を調べた。その結果、PAOによってCO2応答性が、また、Phosphatidylinositol 3-kinase (PI3K) 阻害剤であるLY294002によって暗応答性がそれぞれ特異的に阻害された。PATROL1の動態を全反射照明蛍光顕微鏡を用いて調べたところ、PAOと LY294002の特異的な阻害効果に合わせ、PATROL1の孔辺細胞内ドット密度にも変化が観察された。これらのことから、PI4KとPI3Kはそれぞれ気孔のCO2、光シグナル伝達経路に重要な役割を果たしており、これらのシグナル伝達経路にPATROL1も関与していることが示唆された。この結果に基づき、更なるPATROL1の作用機作を探るために、PAOによる気孔のCO2応答阻害効果を指標にした変異体スクリーニングを、サーマルイメージングの手法を用いて実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PAOに対して低感受性を示すシロイヌナズナ変異体におけるPATROL1の細胞内動態を様々な角度から解析することで、この変異体がもつ特徴的なPATROL1の動態が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに得られた成果の中で興味深い発見については集中して解析を進めると同時に、これらの成果を集約する作業も平行して行う予定である。
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Research Products
(4 results)