2017 Fiscal Year Annual Research Report
生物の自己組織化を制御する動的チューブ理論の構築と実証
Project/Area Number |
17J01742
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山蔦 栄太郎 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | セルチューブ / バイオエンジニアリング / 自己秩序形成 / 生物進化 / 個体進化 / トポロジー最適化 / 生命の階層 / エントロピー |
Outline of Annual Research Achievements |
博士課程の初年度である本年度は研究課題の「生物の自己組織化を制御する動的チューブ理論の構築と実証」に関して、ベースとなる理論の構築と生物細胞からなる組織の形状制御に取り組んだ。チューブを生物の基本単位と仮定し,自己組織化的にチューブ状組織が形作られる場を設計することで,個体を形成する本質的なルールの解明を目指した。 理論の構築にあたり、材料工学、熱力学、生化学、分子生物学、地質学、古生物学、発生学、トポロジーなど様々な領域に渡る文献を収集し整理を行った。また、マウスの線維芽細胞、筋芽細胞を用いて、培養実験、構造形成実験を行ってきた。 多細胞生物の大進化を実証するのは難しいという前提のもとにこれらの研究は行われた。その理由として、人間のような高々100年のライフスパンしか持たない生物には大進化の時間経過のスケールを観察するのが難しいということ、そして、進化をすでに経験し安定状態に入った生物しか現存しないことが挙げられる。このような証明の不可能性の中で、試行錯誤の一年であったが、今回、生物系の学会に参加し、他の研究者の発表を聞き議論を行う中で、仮説を立てて証拠集めをすることで、仮説であっても十分に大きな研究成果になりうるという発見を得た。これは機械工学の中に居ただけでは気付きづらかった視点だと考えている。 この一年の研究成果をもとに、二年目以降も仮説と検証を繰り返していこうと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書を作成した段階では、進化の中で大型生物がどのようにチューブ状の構造を獲得してきたかを実際の細胞などを用いて実験し、検証することを想定していた。しかし、学会発表後の議論などの中で、進化的に安定状態に入っている現在の細胞を使って実験を行うことは、そもそも検証にならないのではないかとの指摘を得たことなどから、大きなテーマの変更はないものの実験方法の再検討を進めている。 また、上記のような証明の不可能性の中で、試行錯誤の一年であったが、生物系の学会に参加し、他の研究者の発表を聞き議論を行う中で、仮説を立てて証拠集めをすることで、仮説であっても十分に大きな研究成果になりうるという発見を得た。これは機械工学の中に居ただけでは気付きづらかった視点だと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
一年目は、生物系の学会に参加し、他の研究者の発表を聞き議論を行う中で、仮説を立てて証拠集めをすることで、仮説であっても十分に大きな研究成果になりうるという発見を得た。今後は要素を細分化し、各項目に対して詳細に仮説を立てることで全体像を整理するともに、研究計画のみにとらわれずに微調節を重ね、一年目同様フレキシブルに研究を進めていきたいと考えている。
|