2017 Fiscal Year Annual Research Report
作用素の有界性を中心とした関数空間の研究と偏微分方程式への応用
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17J01766
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中村 昌平 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 荷重の理論 / ストリッカーツ評価式 / 非線形シュレディンガー方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、本研究の研究目的を振り返る。すなわち、(1)種々の関数空間の持つ特性あるいは構造を、作用素の有界性という観点から明らかにし、(2)その特性を駆使して偏微分方程式、特にシュレディンガー方程式へと応用することが本研究の主目的であった。特に初年度の研究計画は、(1) の目標を達成することであった。以下、研究計画の進捗について述べる。まず、(1)に関する研究計画は順調に進んでいる。実際、当初の目的であった、荷重付きモレー空間の理解は、荷重を多項式荷重に制限することによって、ほぼ明らかになったと言える。なお、この結果は、すでに出版済みである。他方、多項式荷重以外の荷重のクラスを考えると、未だに明らかになっていない性質がいくつかあるものの、来年度は偏微分方程式への応用へと研究の比重をシフトしていく。というのも、この応用という観点から、特に重要であるのは、多項式荷重のクラスであり、それらについては上述の通りかなりの性質が明らかになったからである。 次に、(2)に関する研究計画について、こちらも初年度の研究計画は達成できたと言える。すなわち、ストリッカーツ評価と呼ばれる、非線形シュレディンガー方程式の解析において重要な役割を果たす評価式を、正規直交関数族に対して得ることに成功した。なお、この結果は現在投稿中である。さらに、考える空間をトーラス上に置き換えた場合の非線形シュレディンガー方程式に対して、時間局所的ではあるが、解の適切性を示すことにも成功した。この適切性の結果を、時間大域的にまで広げることは、来年度以降の目標である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず第一に、今年度の主目標であった荷重の理論の構築が、多項式荷重の制約付きとはいえ、うまく達成されたため。次に、偏微分方程式への応用としての足がかりとして、考えたい方程式に対するストリッカーツ評価も得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に得られた、荷重の結果およびストリッカーツ評価式を用いて、フェルミオン多粒子系を記述する、非線形シュレディンガー方程式の解の適切性を論じる。また、より純粋な調和解析の問題である、フーリエ制限問題に関わるトピックの情報収集も並行して行う。
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