2018 Fiscal Year Annual Research Report
深撮像データを用いた低光度活動銀河核の系統的探査およびブラックホール降着流の研究
Project/Area Number |
17J01884
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小久保 充 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | ブラックホール / 銀河 |
Outline of Annual Research Achievements |
すばる望遠鏡HSC-SSPサーベイデータ中に含まれる既知のAGNの光度変動の時系列データの解析、および光度変動を用いた未同定AGNサンプルの発見法の検討を行った。分光同定AGNサンプル約1000天体の光度変動を調査することで、本研究で目的とする低光度AGN が実際にHSCモニタリング観測データで検出可能であることが明らかになった。初期成果は研究会等において発表しており、最終年度には研究成果の論文化を目指す。HSCサーベイデータの解析とは独立に、独自に取得した観測データ、および他のサーベイ観測データを用いた時間変動天体現象の研究を行った。
1. 木曽観測所1 メートル口径シュミット望遠鏡による超新星探査(Kiso Supernova Survey, KISS)によって2015 年9 月に我々が発見した超新星KISS15s について、3 年間の追観測を実施した結果を論文発表した。可視-赤外線のモニタリング観測によって、KISS15s が超新星爆発直前の数十年間にわたって非常に大きな質量放出を経験していたことが明らかになり、大質量星の進化の最終段階における未知の物理過程の存在を示す証拠を得た。
2. 2000 年代に非常に大きな光度変動を示した近傍AGN Mrk590 について、Sloan Digital Sky Survey やMAGNUM project といった過去の可視-赤外線サーベイ観測データを収集・再解析し、AGN に付随する高温ダスト成分の時間変化を調査した。観測データの再解析により、Mrk590 は2000 年-2001 年の1 年間という非常に短い時間スケールで10-50 倍程度AGN光度が変動する特異な現象を示していたことが明らかになり、そのような光度の変化に追随して大量のダスト粒子の凝縮生成が生じた可能性があることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、初年度にはハワイの悪天候や望遠鏡トラブルなどの影響で完了しなかったすばる望遠鏡HSCサーベイによるCOSMOS領域の時間変動観測が終了し、予定通りCOSMOS領域における既存の分光同定AGNの光度変動の統計的性質を調べることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
COSMOS領域のX線-電波の多波長観測データとHSC-SSPによる時間変動観測データを組み合わせることで、未同定の低光度AGNを効率的に検出するアルゴリズム・ソフトウェアの開発を開始する。本研究で考案したAGNサンプル構築法を用いて、COSMOS領域、及び2019年後半に観測されるSXDF領域における時間変動観測データからこれまで未同定だった低光度AGNサンプルを抽出し、AGNの光度変動現象の統計的解析を行うことでブラックホール降着流の物理に制限を与えることを目指す。
|
Research Products
(8 results)