2017 Fiscal Year Annual Research Report
Detection of particular structures using cyclic polyamides that selectively recognize G-quadruplex DNA and elucidation of their functions
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17J01932
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
朝光 世煌 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | グアニン四重鎖DNA / グアニン四重鎖DNA結合性分子 / 二本鎖DNA結合性分子 / 選択的G4ターゲティング / 遺伝子発現制御 / 環状イミダゾール・リシンポリアミド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、申請者が開発したグアニン四重鎖(G4)結合性環状分子cIKPをさらに改良・発展させることで細胞・ゲノムレベルでのG4の機能解明を目的とした。本年度は、cIKPに対して、多様な塩基配列を標的可能な合成分子PIPを付与したハイブリッド分子の創出において以下のような成果を得た。 (I) 特定G4 とその近傍の二本鎖DNAを同時認識可能なハイブリッド分子の開発 モデル標的として設定したc-mycプロモーター領域に存在するG4に対して、G4構造とその近傍の二本鎖DNA配列を標的とした数種の新規ハイブリッド分子を設計・合成した。標的DNAに対する結合性・特異性を、一連の生物物理学的アッセイ(UV・CD・FRET・ NMR・SPR法による結合性評価)により系統的かつ詳細に評価した。その結果、好適リンカーを持つハイブリッド分子は結合比1:1でターゲットDNAに結合し、高い結合能(KD = 3.7 nM)を有することを見出した。結合特異性に関して、テロメアG4構造やターゲットDNAの構成要素である二本鎖DNA単体に対してはほとんど結合能示さず、ゲノム上の最も結合能を示すであろうオフターゲットと比較した場合でも、標的DNAに対して4.6倍もの選択性があることを見出した(KD = 3.7 nM vs 17 nM)。 (II) 好適ハイブリッド分子による選択的転写抑制効果 結合能評価によって見出されたハイブリッド分子の標的プロモーターに対する転写抑制効果を、hela核抽出液を用いたin vitro転写系によって評価した結果、ハイブリッド分子添加時に60%の転写抑制効果を示した。さらに同濃度のcIKP単独を添加した場合と比較して2.8倍、転写抑制効果の増大が観測された。これまで困難であった選択的G4ターゲティングを可能とする分子の開発への道が開けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、申請者が開発したG4結合性リガンド、環状イミダゾール・リシンポリアミドcIKPを改良する形で、ゲノム上のG4を選択的に認識可能な結合性リガンドの創出を目指した。本年度は、ゲノム上の特定G4に近接する二本鎖DNA配列に着目し、これまでにないリガンド設計戦略に基づいた新規ハイブリッド分子の開発を行った。本年度の研究で、ハイブリッド分子の系統的かつ詳細な結合挙動の評価、選択的転写抑制効果の観測に成功している。これらの結果は論文として国際雑誌に掲載されており、来年度に予定している細胞レベルでの網羅的解析の強い動機付けとなった。 新規ハイブリッド分子の開発に付随して、分子の結合挙動や転写抑制効果を評価するアッセイ系を新たに構築することにも成功した。これに加えて、NMR滴定法より、ハイブリッド分子を構成する構成要素の個々の結合挙動を観測可能な評価系の確立にも成功している。これらの系統的かつ詳細な評価系の基盤は、更なる結合能・選択性を有する最適ハイブリッド分子の選定を容易にすると考える。 以上の本年度における研究成果から、当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、環状イミダゾール・リシンポリアミドcIKPを改良・発展させることで、細胞レベル・ゲノムレベルでの特定DNA配列の機能に迫る。 これまでに開発した好適ハイブリッド分子の細胞レベルでの機能を探索する。ハイブリッド分子添加時の標的遺伝子の遺伝子抑制効果とオフターゲット効果を定量RT-PCRにより調べる。さらにハイブリッド分子による選択的な G4への結合に伴うゲノムワイドの遺伝子発現挙動を網羅的に解析する。cIKPを用いた新たな展開として、cIKP誘導体の設計・合成を行い、前年度に確立させた評価系を用いた精密な結合能評価とレポーターアッセイ系による評価等により、cIKP骨格を基盤とした新たな特定DNA結合性リガンドの開発にも取り組む。
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Research Products
(6 results)