2018 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の形態制御を司る低分子量G蛋白質シグナルの包括的理解-上流から下流まで-
Project/Area Number |
17J02057
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅田 健太郎 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
|
Keywords | R-Ras / シグナル伝達 / 軸索形態制御 / 神経栄養因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞は細胞外からの刺激を受け、多様な細胞内シグナル伝達経路を介して細胞骨格系の再構築を行い、その形態を厳密に制御しており、低分子量G蛋白質RasファミリーやRhoファミリーが重要な役割を担っている。R-Rasは神経細胞の軸索に局在し、活性型が下流エフェクター分子を介して軸索の形態制御に関与していることがわかっているものの、R-Rasの活性を制御する上流シグナルについては不明な点が多い。そこで本研究ではR-Rasの活性制御に関わる細胞外分子の同定とその制御機構を分子レベルで解明することを目指している。 これまで、BDNF(脳由来神経栄養因子)によるR-Ras活性化に関与するグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)としてRasGRF1に着目してきた。神経細胞にRasGRF1を単独過剰発現すると、軸索の成長が大きく促進されることがわかった。また、BDNF刺激による軸索の成長促進作用はRasGRF1を過剰発現した神経細胞でも見られる傾向にあった。さらにBDNF刺激によって、RasGRF1のマウスの配列で916番目のセリン残基(ラットでは898番目)のリン酸化が大きく促進することがわかった。BDNF刺激によるRasGRF1のリン酸化は、TrkB受容体を介してPKA(protein kinase A)によって引き起こされることが薬理学的な阻害剤を用いた実験により明らかになり、BDNF刺激によって細胞内でのcAMP濃度が上昇する傾向にあることもわかった。以上の結果から軸索の形態調節の分子メカニズムの一端として、BDNF-TrkBシグナルが細胞内での局所的なcAMP濃度の上昇とこれに続くPKAの活性化を介してRasGRF1をリン酸化し、R-Rasを最大限に活性化することで軸索の形態調節を制御していることが示唆された。
|
Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(1 results)