2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of self-organized localization pattern formation for spontaneous cell migration
Project/Area Number |
17J02075
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福島 誠也 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞運動 / 自発運動 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞の自発運動は細胞運動の根幹にあり、走性運動は自発運動にバイアスがかかったものとして説明される。特に、運動速度や直進性といった細胞運動の性質は、自発運動の制御により大きく変化する。つまり、細胞運動の制御には自発運動の理解とその制御技術が必要となる。本研究では、PIP3をはじめとした、自発運動を制御するシグナル伝達分子の作る局在形成メカニズムの解明と、光刺激による細胞極性の制御手法の確立を目指している。 本年度は、細胞運動の制御技術開発に向けて、光刺激により細胞内で分子を操作する技術の確立に取り組んだ。まずPIP3の代謝に関わる酵素であるPI3KやPTENを光刺激により膜移行させる実験系を立ち上げ、これにより細胞膜状のPIP3量を制御することを試みた。光刺激により二量体化するタンパク質のペア(PhyB,PIF6)とPI3KまたはPTENの融合タンパク質を作成し、これを細胞内で発現させた。光刺激をおこなったところ、狙い通りPI3KとPTENは膜移行することがわかった。一方で、単純にPI3KやPTENの膜移行を操作するだけでは、PIP3量を制御できなかった。これは、PIP3量が双安定的な制御を受けることが原因と考えらる。PIP3量の多い状態から少ない状態への遷移を外部からの刺激で操作するのは困難であることが示唆された。 そこで、我々は改めてPIP3局在パターン形成において、起点となる分子が何なのかを調べた。PIP3代謝に関わる全ての分子を計測した結果、単量体G蛋白質のRasの活性化が局在パターン形成の起点となっていることが明らかになった。現在はこれに関わるRasのGEF/GAPの同定をおこない、制御に用いるのに最適な因子の選定をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シグナル伝達ネットワークの解析により、単量体G蛋白質であるRasの興奮性の性質が極性形成の起点となっていることを示した。また、光刺激による蛋白質の局在制御に成功し、目的蛋白質を細胞膜上にリクルートする技術を確立した。一方で、これによるシグナル分子の局在化の誘導には問題があることがわかった。この点については原因解明および解決方策の策定ができたので、来年度はこの方策に従い研究を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、ターゲットをイノシトールリン脂質から単量体G蛋白質のRasへと移し、その制御メカニズムの解明と光制御手法の開発をおこなう。そのために、数あるRas GEF/GAPのなかから、特に細胞運動に関わる要素の同定をおこなう。現在、遺伝子配列からGEF/GAPとして働くと予想される遺伝子のGFP融合タンパク質の発現ベクターの作成を終え、これらの発現パターンや過剰発現した際の表現型の解析を始めている。その中には、細胞膜上にリクルートされて働いているものも新たに見つかってきており、これらの分子は局在パターン形成に深く関わるものと予想される。この同定作業をもとに有用なGEF/GAPを選定し、光刺激による制御手法の開発に結びつける。
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