2017 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児への社会的相互作用を軸としたICT活用型の長期縦断的就学移行支援と評価
Project/Area Number |
17J02092
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石塚 祐香 筑波大学, 人間系, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | 自閉スペクトラム症 / 発達障害 / ICT / ソーシャルスキル / アカデミックスキル / 就学移行支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. ICTを活用したソーシャルスキル・アカデミックスキルの教材開発とマニュアルの作成 1-1. ICTを活用したソーシャルスキルに関する教材開発とマニュアルの作成 就学前の発達障害児の保護者と、学齢期の発達障害児の保護者、教員の方々を対象に、就学前後で必要なソーシャルスキルに関する聞き取りを行った。そこで挙がった社会的な場面を映像化し、タブレット端末で使用可能なソーシャルスキル教材を開発した。就学前の発達障害児に対し、開発したタブレット端末およびPCを活用したソーシャルスキル教材を用いた支援を行った。その結果、社会的な場面における適切な言語行動が獲得されることを示した。さらに保護者や教員の方々に同様の方法で教材を使用していただけるよう、支援実施マニュアルを作成した。現在は、小学校の通級指導教室での自立活動の時間や家庭学習教材を活用していただき、その効果について分析を行っている。1-2. ICTを活用したアカデミックスキルに関する教材開発:ICTを活用したひらがな単語および句の読みを促すための教材を開発した。知的障害のある就学前の自閉スペクトラム症児を対象とし、1ヶ月間の短期訓練を実施した。その結果、短期間で語読みを獲得し、訓練で用いていない文字・語・句読みも向上した。
2. 就学移行支援及び就学後の学校適応に関する支援の実施 発達障害のある就学前の児童に対し、短期間の就学移行支援プログラムを行った。小学校に準じた環境であるシミュレーション場面を設定し、見通しを持たせる状況設定、あらゆる授業参加行動・発言、特に姿勢を保持する行動に対して具体的かつ即時的に訓練を行うプログラムであった。その結果、参加児の授業関連行動・発言の生起率が増加し,授業逸脱行動・発言が減少した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、1.タブレットPCを用いたソーシャルスキル・アカデミックスキルに関する教材開発およびマニュアルの作成と、就学移行支援および就学以降の学校適応に関する支援の実施を計画しており、どちらも予定通り遂行された。
以下の2点から順調に進展していると評価した。 (1)就学前の自閉スペクトラム症児に対し、ICTを活用したひらがな単語および句の読みを促すための教材を用いた支援を実施し、その効果を検討した。その成果について、現在審査のある国内雑誌に投稿している点。 (2) 就学前の発達障害児に対し、短期間の就学移行支援プログラムを行い、その効果について第2著者として国内雑誌に投稿している点。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、以下の2点が挙げられる。 1.ICTを活用したソーシャルスキル・アカデミックスキルの教材を用いた支援の継続と評価:2017年度は、小学校の通級指導教室での自立活動の時間や家庭学習の時間に、ICTを活用したソーシャルスキル・アカデミックスキルに関する教材を活用していただいた。その効果に関する分析を行う。得られた結果をもとに、開発した教材を改善する。さらに就学前から小学低学年までの発達障害児に対し、教材を用いた支援を継続して実施し、その効果を評価する。
2.就学移行支援の継続と就学後の学校適応に関する評価の実施:評価より得られた結果をもとに、就学移行支援を継続して行う。さらに就学移行支援を受けた発達障害児に対し、就学後の学校適応を継続的に評価し、就学移行支援に必要な条件について検討する。
|
Research Products
(9 results)