2018 Fiscal Year Annual Research Report
Bioimaging for signal activity in response to extracellular matrix stiffness
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17J02107
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日野 直也 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | FRET / 細胞遊走 / ERK / メカノバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮細胞は細胞間接着を維持しながら集団で遊走することが知られている。MAPキナーゼ分子であるERKの活性は集団遊走時に遊走先頭の細胞から後方の細胞へと波のように繰り返し伝播し、集団遊走を促進する。しかし、ERK活性の伝播メカニズムは明確になっていない。昨年度までに、集団遊走の過程で個々の細胞は伸展・収縮を繰り返しており、細胞が伸展後にERK活性が上昇し、その後に収縮するという時系列があることを明らかにした。また、細胞を外的に伸展させるとERK活性が上昇するという因果関係があることを示した。そこで、本年度はERK活性の上昇と細胞収縮との因果関係を検討し、さらにこの細胞収縮とERK活性伝播との関連について調べた。 まず、光遺伝学的手法を用いてERK活性を上昇させたところ、細胞収縮が誘導された。種々の阻害剤を用いた解析により、こうしたERK活性上昇依存的な細胞収縮には細胞骨格を制御するキナーゼ分子であるROCKの活性が必要であることが分かった。これにより、ERK活性化はROCKを介して細胞収縮を誘導することが示唆された。次に、細胞収縮が隣接細胞のERK活性に与える影響を調べた。そのために、薬剤添加依存的に細胞収縮を誘導するDrug-inducible RhoGEF systemを用いた。その結果、薬剤添加による細胞収縮の誘導により、収縮した細胞の周辺細胞が伸展し、ERKが活性化した。よって、ERK活性化依存的な細胞収縮は隣接細胞の伸展を誘導し、その隣接細胞へのERK活性伝播が引き起こされることが示唆された。以上の結果から、集団遊走の過程では細胞の伸展がERKを活性化させ、またそのERK活性化が細胞収縮を引き起こすことにより隣接細胞の伸展が誘導されるという仕組みで、ERK活性が細胞間を伝播していくことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ERK活性や細胞収縮を操作する系を用いることにより、これらの現象の因果関係を明確化することに成功した。これにより、ERK活性が細胞の形態変化と共役しながら細胞間を伝播することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
ERK活性伝播がなぜ遊走先頭から後方の細胞へ一方向的に起こるのかを明らかにするために、細胞の形態的異方性に注目した解析を進める。さらに、ERK活性伝播が細胞の運動を促進する機構についても解析する予定である。
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