2019 Fiscal Year Annual Research Report
シリアンハムスターにおける低温ショックタンパク質の冬眠特異的遺伝子発現
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17J02251
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
堀井 有希 岐阜大学, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 低温ショックタンパク質 / 冬眠 / 選択的スプライシング / CIRP |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの哺乳動物が低体温時に生存が不可能であるにもかかわらず、冬眠する哺乳動物は低体温時にも生命活動を維持している。本研究では冬眠動物の低体温耐性機構について明らかにするための研究を行ってきた。これまで、冬眠動物であるシリアンハムスターにおけるCold-inducible RNA-binding protein(CIRP)の冬眠時特異的な選択的スプライシングの存在を明らかとした(Sano, BBRC, 2015)。そこで、令和元年度にはCIRP遺伝子の選択的スプライシング調節のメカニズムに着目した。 〈内容〉 冬眠動物であるハムスターにおいて、軽度な低体温を経由することによって冬眠時の選択的スプライシングパターンへ誘導されていることを明らかにした。さらに、非冬眠動物であるマウス及びラットにイソフルラン吸入麻酔薬を用い、温度を調節することによって、人為的にCIRP遺伝子を冬眠様のスプライシングパターンへ誘導することに成功した。これらの結果をまとめ、論文発表を行った。 〈意義・重要性〉 本研究で着目しているCIRPタンパク質は、様々なRNAに結合し、転写後調節に関与するタンパク質であり、アポトーシスを抑制する効果が報告されている(Brain Res.1622:474, 2015)。そこで本研究では、選択的スプライシングの変化により、冬眠時にCIRPタンパク質発現及び機能が効率化されているのではないかと予想している。非冬眠動物であるマウスやラットについてもシリアンハムスターと同様のCIRPの発現調節が再現できたことから、非冬眠動物においても、体温を調節することにより、CIRPによる保護機構を発揮させた低体温を作出することが出来る可能性がある。これまで細胞レベルで明らかにされてきたCIRPによる保護機能を、組織及び個体レベルで適用するためにも重要な知見となると考えられる。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)