2017 Fiscal Year Annual Research Report
Regional Electoral Mobilization and Consolidation of Authoritarianism: Evidence from Russia in 2000s
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17J02275
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳥飼 将雅 東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 権威主義体制 / 中央地方関係 / ロシア政治 / 政治マシーン / 中央集権化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度前半はロシアにおいてフィールドワークに従事し、後半はカリフォルニア大学バークレー校で比較政治的な研究手法の追究に従事した。フィールドワークでは、タタルスタン共和国、チュヴァシ共和国、ダゲスタン共和国を訪れ、専門家や役人へのインタビュー、現地資料の収集を行った。またカリフォルニア大学バークレー校では、比較政治学のセミナーに参加した。比較政治学の知識を深化させることができただけではなく、英語でのディスカッションの方法や、アメリカ政治学における論理の組み立て方に関して、様々なヒントを得た。また、院生のワークショップにも積極的に参加し、課題遂行に役立つ数々のコメントを得た。 また、1本の紀要論文と1本の査読論文、合計2本の論文を出版した。紀要論文に関しては、タタルスタン共和国でのフィールドワークの際にお世話になったカザンエネルギー大学の紀要に英語で小文を載せた。査読論文に関してはスラヴ研究第65号(2018年)に掲載予定である(現在印刷中)。 加えて、4度の報告を行った。2017年4月にはフィールドワークの合間に訪れたロシア連邦ペルミ国立大学の比較歴史政治研究センターのセミナーで発表した。また、5月には東京大学で行われたワークショップで発表を行った。次に、11月にはシカゴで行われたスラヴ・東欧・ユーラシア学会(ASEEES)で発表した(査読あり)。最後に、2018年3月にキングスカレッジロンドンで行われたワークショップで発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題遂行のために、ロシアでのフィールドワーク、およびアメリカでの比較政治分析への知識の蓄積を今年度の目標としたが、概ね満足できる結果を得ることができた。ロシアでのフィールドワークでは、課題のおよそ半分からそれ以上の情報を収集することに成功した。また、アメリカでは様々な機会を用いて、より広い読者にとって有用な研究成果をあげるために必要なことに関する深い知識を得た。 論文投稿に関しては、かねてより準備を進めていた2本の論文の掲載が目標であったが、1本にとどまった。修士論文を発展させたものを日本語論文としてスラヴ研究に載せることができたのは、大きな成果である。対して、ウクライナの州知事任命パターンに関する計量論文は、地域研究系の英語ジャーナルに投稿し、「修正ののち再提出」という評価を受けた。これは出版を約束するものではないが、出版にかなり近い状況にあることを示唆している。従って、目標達成とはいかなかったものの、それに近い状況にいたることができた。 最後に研究発表に関しては、1度の国際学会発表と1度の国内学会発表を目標としていたが、前者だけにとどまった。長期間海外に滞在していたため、参加可能な日本の学会を見つけることができなかった。その代わり、ロシア、日本、イギリスのワークショップで発表することができたので、研究発表に関しても順調であると言えるだろう。 以上、研究状況、論文投稿状況、研究発表状況の3点いずれに関しても、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究に関しては、今年度前半は前年度に得た知識と経験をもとに、研究枠組みをよりはっきりとしたものにするため、日本での先行研究の渉猟と理論形成に従事する。この枠組みを踏まえた上で課題遂行に見合う地方を選択し、今年度後半に再度3ヶ月ほどロシアの異なる地方でフィールドワークに従事する。フィールドワーク中から今年度終了までは、前年度と今年度のフィールドワークで得た知見をまとめる作業に移る。 論文投稿に関しては、まず前年度「修正ののち再投稿」という評価を得た論文をコメントに基づいて修正し、英語雑誌への掲載を勝ち取ることを目指す。その上で、前年度のフィールドワークで得た知見をまとめたもの、地方と中央の政官関係に関して計量研究を行ったものの2つの論文を英語雑誌に投稿し、今年度中の掲載を目指す。加えて、可能であれば今年度のフィールドワークの結果をまとめた日本語論文を雑誌投稿することも考えている。 研究発表に関しては、比較政治学の国際学会、および日本の比較政治の学会で発表することを目標とする。前年度はスラヴ系の学会や研究者の前で発表しコメントをいただくことが多かったので、今年度は比較政治学者からのコメントを積極的にもらうことを意識する。このことは、比較政治学的な分析枠組みを研究課題に取り入れ、より広い聴衆の関心を引く論文を書くために必要であると考えられる。対象としては、例年1月に開催される南部政治学会(SPSA)や9月から10月に開催される日本政治学会などを考えている。
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