2017 Fiscal Year Annual Research Report
転移性胃がんに対するα線を用いた放射免疫療法の実現に向けた治療生物研究
Project/Area Number |
17J02307
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
李 惠子 千葉大学, 大学院医学薬学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | α線放射免疫療法 / 転移性胃がん / HER2 / アスタチン211 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、α線放出核種アスタチン211(At211)標識抗HER2抗体トラスツズマブ(At211-trastuzumab)がHER2高発現転移性胃がんに及ぼす生物学的効果を検討し、転移性胃がんに対する効果的なα線放射免疫療法の新規治療法を確立することが目的である。 1年目のH29年度は、化学発光法による体内腫瘍の可視化が可能なHER2高発現胃がん腹膜播種モデルマウスおよび肝転移モデルマウスを確立し、At211-trastuzumabの体内動態、抗腫瘍効果および安全性を評価した。 腹膜播種モデルマウスを用いた検討では、異なる投与法(経静脈投与、腹腔投与)によるAt211-trastuzumabの体内動態試験から、腹腔投与を行うことで経静脈投与に比べてより迅速かつ多量にAt211を腫瘍集積させ、血液中211At量を低減できることを確認した。体内動態試験の結果を踏まえ、HER2高発現胃がん腹膜播種モデルマウスに対して腹腔投与による治療実験を行い、腫瘍の変化および体重・白血球数を経時観察し、抗腫瘍効果および安全性を評価した。その結果、At211-trastuzumabを用いた腹腔投与によるα線放射免疫療法はHER2高発現胃がん腹膜播種に対した有意な治療効果を示した。この治療による重度の毒性は認められなかった。 肝転移モデルマウスを用いた検討では、At211-trastuzumabの体内動態を評価した後、腫瘍移植後の治療開始時期および投与線量等の治療実験に向けた条件検討を行った。その結果、腫瘍移植1週後にAt211-trastuzumab(1 MBq)を尾静脈投与する治療実験を開始し、At211-trastuzumabを用いたα線免疫療法がHER2高発現胃がん肝転移に対する抗腫瘍効果および安全性の評価を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HER2高発現胃がん腹膜播種モデルマウスを用いた治療実験を行い、At211-trastuzumab治療効果および安全性等について検討を行った。その結果、211At-trastuzumabを用いた腹腔投与によるα線放射免疫療法はHER2高発現胃がん腹膜播種に対する新規治療法として期待できることが示唆された。本研究内容を学会および論文として発表した。 また、HER2高発現胃がん肝転移モデルマウスにおけるAt211-trastuzumabの体内動態試験で経時的な腫瘍集積を確認した。治療実験に向けた条件検討を行い、現在治療実験進行中であり、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目はHER2高発現胃がん肝転移モデルマウスに対してAt211-trastuzumabを用いた治療実験を継続し、その抗腫瘍効果および安全性の更なる詳細な解析を行う予定である。また、病理組織学的解析を用いた生物学的効果の検討、更なる治療効果向上に向けた検討も行う予定である。
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Research Products
(6 results)