2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J02339
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
南 慎太朗 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | タンパク質デザイン / 新規フォールドタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
既知構造データベースを解析することを通し、αβ型に属する小型タンパク質のうち天然に出現しているものと出現していないものを明らかにした。さらに、すでに出現しているフォールドに広く見られる構造的特徴を手がかりに、未出現であるがデザイン成功の可能性が高いと考えられる7つのフォールドをつきとめた。発見した構造的特徴は、本研究の目的の一つである「デザインターゲットに対する設計可能性指標」を構築するための基礎となるはずである。設計可能性の判定に関連して、αβ型フォールドに関する構造データベース解析研究の成果をまとめた論文が Protein Science 誌に掲載された。 デザイン可能であると考えられる上記7つの新規フォールドのうち、2つについて計算機を用いたデザインを行った。デザインしたタンパク質について大腸菌を用いて発現・精製を行った結果、いくつかのデザインについて、現存するタンパク質と同様に可溶であり、単量体として存在すること、αβ型の構造を取っていること、およびデザイン配列全体の大部分が溶液中で一定の構造を形成していることが、それぞれ実験的に確認できた。構造決定実験によりこれらのデザインタンパク質が正しくフォールドしていることが示されれば、新規フォールドデザイン成功例の史上2例目、および3例目となる。 上記デザイン過程での試行錯誤を通じて現状のデザイン手法の問題点を認識するに至り、既存のデザイン手法を改良・発展させるための研究を上記に並行して行った。デザイン手法の改良と発展は当初の研究計画には無いが、課題期間内に本研究を達成する上で不可欠と考えている。また、この試みが成功すればタンパク質分子のデザイン問題について理論的にも工学的にも貢献できると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
課題申請時の具体的目標として課題期間中に新規フォールドのデザインを3つ成功させることを掲げていたが、データベース解析を終了した段階で目標となる数を7つへと大きく引き上げた。さらに、初年度終了の段階ですでに2ターゲットに関する計算機によるデザインと基礎的な実験による可用性や二次構造形成、溶液中での単一構造の形成を確認し、3つめのターゲットのデザインに進みつつある。また、当初の計画の枠組みを超えてデザイン手法の改良と発展を目指す研究にも着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の構造データベース解析の結果から、当初の新規フォールドデザインの数的目標であった3ターゲットを7ターゲットへと上方修正した。この目標を達成するために、現状の手法によって3ターゲット目以降のデザインをこれまでどおり進めつつ、並行してデザイン手法そのものを改良・発展させた新規手法の開発を行う。新規手法の開発がある程度進んだ段階で実際のデザイン研究にも適用し、残るターゲットのデザインを加速・効率化させるとともに、実験から得られるデザイン成否の結果を手法の改良へ逐次フィードバックする。
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Research Products
(3 results)