2018 Fiscal Year Annual Research Report
直線自由エネルギー関係に基づく新規プロトン伝導液体の探索と伝導機構の解明
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17J02361
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡辺 日香里 新潟大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 擬プロトン性イオン液体 / 特異的プロトン伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロトン性イオン液体はイオンのみからなり解離可能な水素を持つイオン液体であり、中低温無加湿燃料電池への応用が期待されている。最近イオン伝導性を示すにも関わらず、ほぼ電気的中性分子しか存在しない液体を見出し、これらを擬プロトン性イオン液体pPILと呼び、pPILに特徴的な静的酸解離を伴わないプロトン伝導を超Arrheniusプロトン伝導と呼んでいる。超Arrheniusプロトン伝導はstokes則といった従来の古典イオン伝導論では説明できず、新たな概念の構築が必須である。本研究ではPIL [HB+][A-]の自己解離反応HB+ + A- → B + HA のプロトン交換反応に着目し、直線自由エネルギー関係LFERに基づく超Arrheniusプロトン伝導の概念一般化を目指す。具体的に①プロトン反応に関するLFERおよび②プロトンキャリアの並進・回転運動に関するLFERを明らかにし、新規プロトン伝導液体の探索を行う。 今年度、N-エチルイミダゾール系PILおよびpPILについて研究を進めた。磁場勾配NMRによる自己拡散係数測定および誘電緩和測定により、プロトンキャリアの並進・回転運動を明らかにした。さらにN-メチルイミダゾール-酢酸系pPILの組成を変化させた系について研究を進めた。多変量解析の1つである相補的最小自乗法を開発し、不定比pPILに適応し、プロトン伝導に寄与する液体中の化学種の同定および定量に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
相補的最小自乗法の開発により、濃度不明で解析不能であったプロトンダイナミクスに関する種々の解析が一気に進んだ。さらに、PILの概念を拡張し、プロトン性溶媒和イオン液体の研究を進めたところ、ホッピングによる特異的リチウムイオン伝導を見出した。以上のことから、おおむね順調に進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
プロトン伝導だけでなく、リチウムイオン伝導の一般化にもつながると判断し、新たに見出したプロトン性溶媒和イオン液体について検討する。
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Research Products
(13 results)