2017 Fiscal Year Annual Research Report
多剤排出トランスポーターMATEの薬剤認識機構の解明
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17J02425
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮内 弘剛 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | トランスポーター / 結晶構造 / 多剤薬剤排出 / 膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
シロイヌナズナに由来する多剤排出輸送体MATEについて、哺乳類細胞を用いた輸送解析、大腸菌を用いた遺伝学的輸送解析を構造から得られた情報を基にして変異体解析を実施し、その輸送メカニズムを生化学的に解明した。そして結晶構造とこの生化学的なデータをまとめて論文とし、Nature Communications誌に投稿した。要求された追加実験を実施して変異体解析のデータを拡充し、10ヶ月のレビュー期間を経て掲載されることとなった。今回得られたMATEは外向き開状態の構造であり、構造変化機構について考察するために分子動力学シミュレーションを用いてMATEの内向き開状態構造を作製した。この外向き開状態から内向き開状態への構造変化に必要な膜貫通へリックス間の距離を変数にとった自由エネルギー計算を実施し、MATEの構造変化に必要なエネルギーを求めることに成功した。 また、当初より予定していたヒツジ由来のMATEについても16リットルスケールでの昆虫細胞発現系を用いた大量培養、界面活性剤による可溶化・ゲル濾過カラムクロマトグラフィーによる精製を実施し、界面活性剤、pHなどの条件検討の末、より高純度に精製できる系を確立した。さらにはシロイヌナズナに由来するMATEの結晶構造を用いて、ヒツジ由来のMATEの立体構造を予測してモデル構造を作成した。このモデル構造を用いて分子動力学シミュレーションを実施し、ヒツジ由来のMATEの構造のうち揺らぎが大きく結晶化に不利に働くであろうループを同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シロイヌナズナに由来するMATEは当初の予定通り論文として掲載することができ、またヒツジに由来するMATEについては発現系、精製系の改良に成功した。また分子動力学シミュレーションを用いて、より結晶化に適したコンストラクトを作製するための手がかりを得ることにも成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
より結晶化に適したコンストラクトを検討・作製し、回折実験に耐えうる結晶の作成を目指す。
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