2018 Fiscal Year Annual Research Report
多剤排出トランスポーターMATEの薬剤認識機構の解明
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17J02425
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮内 弘剛 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | トランスポーター / 結晶構造 / 多剤薬剤排出 / 膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
あらゆる生物は、様々な有害物質の侵入に対処するべく、生体異物を能動的に体外へと排出する機構を獲得してきた。この異物排出を担っている機構として膜輸送体MATEが挙げられ、原核生物からヒトまでほとんどすべての生物がもつタンパク質である。ヒトにおいてMATEは腎臓および肝臓に発現し、プロトンを駆動力にして生体異物を尿・便へ排出している。以上の性質よりMATEは医薬品の体内動態・臓器分布を担っており、薬効・副作用の決定因子のひとつとなっている。日本人を対象としたSNP解析から、MATEの機能が低下する遺伝的変異が報告されてきており、テーラーメード医療が注目を集めている現在、MATEの輸送機構の詳細な解明が期待されている。 これまでシロイヌナズナに由来する多剤排出輸送体MATEの結晶構造を明らかにし、Nature Communications誌に発表してきた。しかし、ヒトをはじめとする哺乳類との類似性が低いことから、ヒト体内でMATEがどのようにして薬剤を認識しているのかまでは到達することができなかった。そこでヒトと類似性が高く、また安定に発現することの確認されたヒツジに由来するMATEについて結晶化を試みることとした。 シロイヌナズナに由来する多剤排出輸送体MATEの構造情報をもとにして、ヒツジ由来のMATEのコンストラクトの改良を実施した。このヒツジ由来のMATEについても昆虫細胞発現系を用いた大量発現・精製の系をさらに改良し、高純度にタンパク質を精製することに成功してきた。また、分子動力学シミュレーションを用いたコンストラクトの改良も実施し、結晶化に適した変異体を作製することにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに発表してきたシロイヌナズナに由来するMATEを基にしたコンストラクトの改良に成功してきており、さらに分子動力学シミュレーションを用いた変異体探索にも成功してきている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られている結晶化に適したコンストラクトを用いて結晶化を実施し、回折実験に耐えうる結晶の作成を目指す。
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