2017 Fiscal Year Annual Research Report
新生ポリペプチド鎖による膜透過能の監視と転写-翻訳制御機構
Project/Area Number |
17J02501
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 英治 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 新生ポリペプチド鎖 / 膜透過 / RNA二次構造 / 翻訳アレスト |
Outline of Annual Research Achievements |
ビブリオ属細菌がもつVemPの新生ポリペプチド鎖を介した翻訳アレストによる発現制御機構に着目して、翻訳アレストとその新生ポリペプチド鎖が与えるRNAレベルへの変動【1】や、翻訳アレストの解除機構【2】について明らかにすることを目的とする。 昨年度は、新生鎖によって引き起こされる翻訳アレストがアレストサイト下流のRNA二次構造に与える影響とそれによって起きる発現制御の分子機構に着目して研究を行った。特に、RNAの二次構造を実験的にとらえることに注力し、二次構造変化と遺伝子発現がどのように共役しているかを明らかにすることを目指した。翻訳アレストと共役したRNA二次構造変化を捉えることはできなかったが、RNA二次構造を実験的に明らかにする手法を習得し、この実験系を用いた対象RNAの二次構造解析やその領域の変異解析により、RNA二次構造が発現制御に厳密にかかわっていることを示した。 また、翻訳アレスト時の新生鎖のうち合成されて間もないC末端側の20アミノ酸の新生鎖領域の網羅的な変異解析により、翻訳アレストに重要であるアミノ酸とVemP新生鎖によるユニークなアレスト機構に関して明らかにし、その成果を国際学術雑誌journal of Biological Chemistry誌に報告した。さらに、初期の段階で合成されたN末端側の新生鎖領域についても変異解析をおこなっており、翻訳アレストの安定化を引き起こす変異体を複数得ることができた。これらの変異体は、翻訳アレストが解除される条件下でも翻訳アレストが安定的に維持されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を遂行するにあたり、RNA二次構造を実験的に明らかにする手法「RNA SHAPE法」の実験系の立ち上げ・確立を行うことに注力し、比較的早い段階で実験系を確立することに成功したため、スムーズにデータの取得が可能となった。また、当初目的としていた新生鎖領域の変異体の取得に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度得られた結果をもとに、これまで計画していた通りに実験を進める。具体的には、今年度取得した発現制御が異常となるRNA二次構造の変異体と野生型を比較することで、転写におけるRNA動態を明らかにする。また、得られた翻訳アレストを安定化する変異体について議論すべく、新生鎖領域のリボソームにおける空間的な位置情報を取得する。さらに、翻訳アレストとRNAの二次構造動態に関する研究をまとめた論文の学術誌掲載を目指す。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Marine Vibrio features alternative cation-dependence of SecDF paralogs regulated by a nascent polypeptide, VemP, for environmental adaptation.2017
Author(s)
Ishii, E., Chiba, S., Hashimoto, N., Sakashita, S., Kojima, S., Homma, M., Ito, K., Akiyama, Y. and Mori, H.
Organizer
International symposium ‘Harmonized supermolecular motility machinery and its diversity’
Int'l Joint Research
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