2018 Fiscal Year Annual Research Report
新生ポリペプチド鎖による膜透過能の監視と転写-翻訳制御機構
Project/Area Number |
17J02501
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 英治 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 新生ポリペプチド鎖 / 膜透過 / RNA二次構造 / 翻訳アレスト / RNA分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
翻訳停止という現象が引き起こす細菌の遺伝子発現制御機構に着目し、この機構の過程における転写から翻訳後までを標的とした多面的なアプローチから、翻訳停止が起因となる新たな発現制御モデルの提示を目指している。 2018年度は、翻訳アレストによるRNA二次構造変化を起因とした発現制御機構の実態を解明すべく、RNA二次構造情報を得ることができるRNA SHAPE法と無細胞翻訳系を融合させた実験系の開発に取り組み、これまでに提案している作業仮説の検証を行った。また、細胞内でのvemP-secDF2 mRNAの安定性に着目して研究を進めたところ、細胞内膜への局在化によりmRNAが不安定化されることを見出した。このことから、SecDF2の発現は翻訳レベルだけでなくmRNAレベルでの調節機構も有しており、二段階のタイトな発現制御が行われていることが示された。また、翻訳アレスト時の新生ポリペプチド鎖に着目し、翻訳アレスト時の各残基とリボソームトンネルの位置関係を検証した。60残基以上の新生鎖がリボソーム内に位置していることを明らかにした。この情報は、VemP新生鎖領域の役割について明らかにするうえで重要な情報であると考える。更に、特別研究員として採用される以前より行っていた研究について取りまとめを行い、筆頭著者の一人として国際雑誌Bioscience, Biotechnology, and Biochemistryへの発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、vemP-secDF2 mRNAの新奇な転写後制御について見出し研究を発展させてきた一方で、当初の目標であった学術雑誌への掲載について達成することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまでに得られた成果の取りまとめを目標に進める。 1.翻訳アレストに伴ったRNA二次構造変化を実験的に捉え、これまでに得られているRNA二次構造と下流遺伝子発現に関する基礎的なデータを踏まえて論文化を目指す。 2.標的化に伴ったmRNAの分解にかかわる因子の探索を行い、その分子機構について明らかにする。 3.取得した新生鎖領域とリボソームトンネルの位置関係に関する情報をもとにリボソーム外領域のVemP新生鎖の役割について解析を進める。
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Research Products
(3 results)