2018 Fiscal Year Annual Research Report
生物活性小分子の構造活性相関研究迅速化を指向した新規誘導体化試薬の開発
Project/Area Number |
17J02575
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡村 俊孝 東北大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 構造活性相関研究 / プロパルギル化 / ニコラス反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生物活性分子に対して短工程かつ網羅的に官能基化を行うことで、構造活性相関研究の迅速化を目指すものである。 2年目となる本年度は、(1) 昨年度見出したルイス酸触媒により活性化されるカチオン性プロパルギルコバルト錯体を用いた、多様な芳香族生物活性分子の官能基化を試みた。また、 (2)ジフルオロプロパルギルコバルト錯体を用いた新規分子変換反応の開発と、ジフルオロプロパルギル基の機能性評価を行った。さらに、(3)ヘテロ芳香環を持つ生物活性分子に対する、新たなジフルオロプロパルギル化の試薬と条件開発を行った。 (1)昨年度開発した、ルイス酸触媒で活性化されるプロパルギル化試薬は、多様な芳香族生物活性分子の2工程プロパルギル化が可能であった。また、酸や塩基に弱い基質においても、分解がほとんど見られず、良い収率で目的のプロパルギル化合物を得ることに成功した。 (2) 昨年度見出したジフルオロプロパルギルブロミドジコバルト錯体を多様な基質とルイス酸存在下反応させたところ、本錯体はケトンと反応し、エノールエーテルを生成することを見出した。さらに、得られたエノールエーテルを脱錯体化することで、新規ジフルオロプロパルギルエノールエーテルを得ることに成功した。また、ジフルオロプロパルギル基は銅触媒非存在下でもクリック反応が生体内温度で進行し、さらに、生体内利用がすでになされているシクロオクチンと殆ど同じ活性を持つことを示唆する結果を得ることに成功した。 (3) ジフルオロプロパルギルブロミドを用いた、ヘテロ芳香環を持つカフェインに対するジフルオロプロパルギル化に低収率ながら成功した。本手法は、ヘテロ芳香環に対する初の直接的なジフルオロプロパルギル化の例である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度開発した、ルイス酸触媒で活性化する新規プロパルギル化試薬を用いることで、従来の手法よりも高い収率で、生物活性分子の誘導化を行うことができたため。独自に見出したジフルオロプロパルギルブロミドジコバルト錯体を用いた、高い新規性を持つ反応の開発に成功したため。また、本研究の目標である構造活性相関研究迅速化を目指した、生物活性分子のヘテロ芳香環に対する直接的なプロパルギル化の条件を見いだすことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
独自に見出したジフルオロプロパルギルブロミドジコバルト錯体を用いた、新規反応の開発を継続する。具体的には、得られたジコバルト錯体をポーソンカーン反応へと応用し、より多様な含フッ素分子合成へと展開する。 ヘテロ芳香族生物活性分子のジフルオロプロパルギル化の創出には成功したが、収率に改善点があるため、より高い収率で目的物が得られる条件の探索を行う。その後、最適化した条件を用いて、多様なヘテロ芳香族生物活性分子に対するジフルオロプロパルギル化を行う。
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