2017 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血中三大栄養素の濃度制御の解明に向けたシステム生物学的アプローチ
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17J02672
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大橋 郁 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | システム生物学 / 血糖値恒常性 / 2型糖尿病 / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒトの生命維持に必要不可欠な三大栄養素(糖・アミノ酸・脂肪)の血中濃度恒常性の制御メカニズムを解析するものである。研究手法として、まずヒト被験者への臨床試験で血中栄養素濃度を経時的に測定し、次にその変動を再現できる数理モデルの構築と、臓器活動強度の推定を大規模シミュレーションと数理解析演算によって行う。これらにより、投与した栄養素の違いによる血中栄養素・ホルモンの変動の違い、またその違いの原因となる血中栄養素の濃度制御の構造と、各臓器作用・栄養素間の相互影響関係を明らかにする。本年度は、主に以下の3点を達成した: 1. ヒト採血試験:健常被験者5名を募り、「糖」「アミノ酸」「糖+アミノ酸」の3種類を、被験者につきそれぞれ投与し、採血を行った。本試験で得られた各被験者の各血中分子濃度の時間変化について、国内外の学会で発表を行った。 2. 血中糖-インスリン濃度制御モデルの改良:以前私が報告した数理モデルでは、インスリン分泌の直後に肝が門脈血から除去するなど、肝の重要な作用が評価できなかった。そこで、インスリンと等モル分泌されるが肝で除去されない「C-peptide」の血中濃度を用いることで、数理モデルを改良し、肝の作用を詳細に評価する解析を行った。その結果、2型糖尿病の進行とともに、肝における血中インスリン除去能は上昇するが、末梢組織における血中インスリン除去能は減少するという、逆の変化を辿ることを初めて示した。この結果は一つの臓器の変化の違いが、システム全体に異なる影響を与えることを示すもので、論文を学術誌にて発表した 3. 血中糖・アミノ酸・インスリン濃度制御モデルの新規構築:これまで世界でも発表されていない、血中三大栄養素濃度の同時動態制御モデルを考案、数値シミュレーションを可能にした。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(3 results)