2017 Fiscal Year Annual Research Report
位置選択的なC-H酸化を駆使したアコニチンアルカロイドの革新的合成
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17J02694
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮本 尚也 東北大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | アコニチンアルカロイド / デヌダチンアルカロイド / 全合成 / Diels-Alder反応 / シロキシジエン / Mannich反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、アコニチンアルカロイドの生合成中間体である、デヌダチンアルカロイドの骨格構築を試みた。まず、文献既知のアミノアルコールから9工程の変換で、デヌダチンアルカロイドの左部に共通する三環性化合物の合成に成功した。その後、当研究室で見出した、分子内Mannich反応の条件を適用し、四環性化合物の合成を試みたが、目的物は得られなかった。 そこで次に、我々がすでに報告している、デヌダチンアルカロイドの合成研究の改良を試みた。我々の合成研究において、残る課題は天然物右部に相当するビシクロ[2.2.2]環の構築である。これまでに、Diels-Alder反応によるビシクロ環の構築を試みているが、目的物は得られていない。その原因として、原料であるジエンの電子密度が低く、HOMOのエネルギーが十分でないことが挙げられる。そこで、基質のジエンをより電子密度の高いシロキシジエンへと変更することで、この問題を解決できると考えた。まずは、単純なモデル化合物を用いて、シロキシジエンの合成を試みた。すなわち、市販の化合物から一工程で導けるトリフラートから、一酸化炭素の挿入を経てワインレブアミドを合成した後、アリルグリニャール反応剤を求核付加させて、ビニルアリルケトンへと導いた。その後、NaHMDSを用いて発生させたエノラートをTBSClで捕捉し、シリルエノールエーテルの合成を完了した。現在、電子環状反応によるシロキシジエンへの変換を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、標的天然物の炭素骨格の構築を目的に研究を行った。はじめに、量的供給を志向した迅速合成法を立案し、検討を行ったが、分子内 Mannich反応が進行せず、本経路を断念した。そこで、当研究室で過去に報告した合成研究を改良し、骨格構築を試みた。過去の報告において、合成したジエンの電子密度が低いことが問題であると考え、電子密度を向上させた基質の合成経路を立案し、現在モデル化合物を用いた検討を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、モデル化合物を用いた検討を行い、シロキシジエンの合成法を確立する。その後、得られた知見をデヌダチンアルカロイドの骨格構築に適用する。続いて、報告例が多数存在する生合成を模倣した骨格転位反応を適用し、アコニチンアルカロイドの骨格構築を完了する。
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Research Products
(3 results)