2018 Fiscal Year Annual Research Report
位置選択的なC-H酸化を駆使したアコニチンアルカロイドの革新的合成
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17J02694
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮本 尚也 東北大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | アコニチンアルカロイド / デヌダチンアルカロイド / Diels-Alder反応 / オルトキノンモノアセタール / 高圧反応 / Mannich反応 / C-H酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、アコニチンアルカロイドに共通する炭素骨格の迅速合成に向けた検討を行った。まず、昨年度までの検討では合成出来ていなかった、天然物右部に相当するビシクロ環の構築に関して、ノルボルナノン由来のモデル基質を用いた合成経路の探索を行った。はじめに、ジエンとジエノフィルを同一分子内に有するモデル基質を合成し、分子内Diels-Alder反応を試みた。しかし、ジエンの異性化が進行するのみで、目的の環化付加体は得られなかった。次に、超高圧条件での分子間Diels-Alder反応を試みるべく、フランス・ルーアン大学のMichael研究室に留学した。様々なジエノフィルに関して検討を行ったが、この場合も基質の異性化のみが観測された。この結果から、①ジエンの反応性の向上②用いるジエノフィルの嵩高さ、の2点が重要であると考え、ジエン部位をオルトキノンモノアセタールに導き、ジエノフィルとして立体的に嵩低いエチレンを選択し、高圧条件でDiels-Alder反応を試みた。その結果、痕跡量ではあるものの、目的の環化付加体が得られた。条件検討の結果、ジクロロメタン溶媒中、濃度を0.002M、反応温度を40°C、エチレンガスを30barで反応を行うと、目的物が28%で得られることが分かった。この際、原料回収およびオルトキノンモノアセタールの二量体が観測されたことから、今後さらに条件の精査を行い、目的物の収率向上を試みる予定である。次に、確立したビシクロ環の合成ルートを本基質の合成に適用し、炭素骨格構築に向けた検討を行った。現在、オルトキノンモノアセタールの合成を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アコニチンアルカロイドの共通骨格の迅速構築に向けた検討を行った。まず、天然物右部のビシクロ環の構築について、モデル検討を行った結果、ノルボルナノンから9工程で合成したオルトキノンモノアセタールとエチレンとのDiels-Alder反応により、ビシクロ環の構築に成功した。現在は、すでに合成済の中間体からオルトキノンモノアセタールへの変換を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、確立したビシクロ環の合成経路を本基質に適用し、アコニチンアルカロイド、デヌダチンアルカロイドの炭素骨格の合成を完了する。すなわち、すでに合成済の中間体から、オルトキノンモノアセタールに導き、エチレンガスとのDiels-Alder反応により、目的のビシクロ環を合成する。その後、C-H酸化反応の検討を行い、共通骨格からの多様な類縁体の合成法を確立する予定である。
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Research Products
(1 results)