2018 Fiscal Year Annual Research Report
代替炭素源に基づいたグリオーマ幹細胞の分類及び代謝柔軟性を規定する分子の同定
Project/Area Number |
17J02715
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
南 徳明 慶應義塾大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 乳酸 / 代替炭素源 / 酸化ストレス / グリオーマ幹細胞 / 糖新生 / グルコース飢餓 / 代謝 / ケトン食 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究結果からグリオーマ幹細胞が乳酸をグルコースの代替炭素源として利用できることがわかっていたが、乳酸がどのような代謝経路でレスキュー効果を付与するのか、というメカニズムはわかっていなかった。過去の文献においては、乳酸はピルビン酸に変換された後TCA回路に入ってバイオマスとして利用され、電子伝達系経由でATP合成に利用されるという報告されている。しかしながら、酸素消費量やATP産生について詳細に解析した結果、少なくとも慢性期において、乳酸は酸化的リン酸化によりATP合成に利用されているというよりは、糖新生経路経由でペントースリン酸経路の酸化的経路の上流反応により産生されるNADPHの合成に利用されている、ということを示唆する知見が得られた。さらにグルタチオンの濃度を測定したところ、乳酸投与群においてはコントロール群よりも有意にグルタチオンが上昇していることがわかった。H2O2を投与して死細胞比率を比較しても、乳酸投与群ではコントロール群よりも死細胞比率が低いことが示された。これらの結果から、グリオーマ幹細胞がグルコース飢餓環境下において乳酸を糖新生経路経由でNADPH産生に利用し、さらにグルタチオン合成を促進することで酸化ストレス抵抗性を獲得している可能性が示唆された。申請者はこのNADPHが脂質合成に利用されているのではないかと考えており、今後はメタボローム解析を追加して仮説の検証を行う。 グルコース飢餓環境をin vivoで再現する目的で、マウス脳腫瘍移植モデルを用いてケトン食による治療実験を試みた。しかしながらケトン食治療群のマウスの血中グルコース濃度はコントロール群と有意差はなく、in vivoでの再現は困難と考えられたため、代替方策としてex-vivoでの追加実験を予定している。今後も研究を継続し、脂質合成の結果と合わせ報告する予定である。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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