2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating the molecular mechanism underlying the fusion preparation step of autophagy
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17J02747
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中野 沙緒里 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | オートファジー / SNARE / リソソーム / 膜融合 / テイルアンカータンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細胞内分解機構であるオートファジーの後期段階に注目し、その全容解明を目的としている。 リソソームは完成したオートファゴソームにのみ融合できるが、この制御機構の詳細は不明な点が多い。これは、オートファゴソームSNAREタンパク質であるSTX17が完成したオートファゴソームにのみ局在することで一部説明ができるが、STX17の局在化機構については未解明のままである。本研究はSTX17の局在化機構を解明から、オートファジー後期過程に起こる現象の可視化を目指した。 まずin vitro再構成実験系構築し、STX17のオートファゴソーム局在に必要な因子を検討した。試験管内タンパク質翻訳により合成したSTX17は、細胞質成分非存在下においてもオートファゴソーム上に局在したため、STX17単独で膜挿入の時間的制御を担う可能性が示唆された。さらに、様々なSTX17の変異体を作製し、マウス繊維芽細胞に安定発現させ、細胞内局在の観察から、オートファゴソーム局在に必要なドメインの同定を行った。STX17のC末端領域の塩基性アミノ酸がオートファゴソームへの局在に必須であり、この特異性はアミノ酸配列ではなく、正電荷の数に依存していることがわかった。それと一致するように、STX17が負電荷脂質であるホスファチジルセリンを多く含む膜とより強く相互作用し、この嗜好性がSTX17のC末端領域の塩基性アミノ酸により決定されることがリポソームを用いたin vitro膜挿入再構成実験から強く示唆された。 現在これらの結果から細胞内でのオートファゴソーム膜の脂質組成の変化を検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
STX17の膜挿入機構を検討するために、新規にセミインタクト細胞やリポソームを用いた実験系を立ち上げ、膜挿入に必要な要素の検証を行うことができた。さらに、細胞内局在観察から、オートファゴソーム局在に必要であるSTX17の分子内ドメインを新規に同定した。また、リポソームを用いたin vitro膜挿入再構成実験により、STX17が負電荷膜嗜好性を示したことから、オートファゴソーム膜の性質を検証する可能性を見出した。今後、来年度の結果を合わせて論文投稿することが可能であると考え、おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、オートファゴソーム形成後期特異的なオートファゴソーム膜の脂質組成の変化を、脂質プローブを用いて検証する。すでに、脂質プローブをマウス繊維芽細胞に安定発現させた株を樹立した。細胞内局在観察から、いくつかの負電荷脂質が隔離膜ではなくオートファゴソームに蓄積する可能性が高いことを見出している。これらの脂質の中で形成後期に中心的な役割を果たす脂質を同定する為に、目的遺伝子特異的siRNAを用いてこれらの脂質合成酵素を欠損させ、オートファジーへの影響や、STX17のオートファゴソーム局在に影響を及ぼすか検証する。また、STX17の特定脂質認識能について昨年度構築したリポソームを用いたin vitro再構成系により検討する。さらに、オートファゴソームとリソソームの融合にはSTX17だけでなく、別のオートファゴソームSNAREタンパク質であるYKT6が最近同定されたため、YKT6のオートファゴソーム膜局在化機構もSTX17と同様のメカニズムか検証する。来年度は、これらのデータをまとめて、論文投稿を行う予定である。
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