2019 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症新規モデルマウスを用いた発症機構解明と治療への応用
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17J02750
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川村 敦生 九州大学, 大学院医学系学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 自閉症 / モデル動物 / クロマチンリモデリング / 神経細胞 / オリゴデンドロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、クロマチンリモデリング因子CHD8が自閉症の最も有力な原因遺伝子として報告された。われわれは自閉症患者で報告されたCHD8変異を模倣したCHD8へテロ欠損マウスを作製し行動解析を行ったところ、自閉症を特徴付ける行動異常が再現されることを確認した。CHD8は神経細胞だけでなくアストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリアでも発現が認められることが分かっている。昨年度の結果から、CHD8はオリゴデンドロサイトにおいて重要な役割を果たしていることが判明したため、オリゴデンドロサイトに着目して特に解析を進めた。オリゴデンドロサイト系譜でCHD8を欠損させたマウスは振戦や後肢の麻痺などの表現型を示し、ほとんどが生後2~3週で死亡した。このマウスの脳や脊髄ではオリゴデンドロサイトの細胞数が著明に減少し、髄鞘の形成が障害されていた。生化学的な解析を行ったところ、CHD8はMBPやPLP1などミエリン関連遺伝子のプロモーター領域に結合しており、CHD8の欠損によってこれらの遺伝子発現の変化が観察された。次にオリゴデンドロサイト特異的CHD8へテロ欠損マウスの解析を行った。CHD8をヘテロ欠損したマウスの脳内では、オリゴデンドロサイトによるミエリン形成が低下しており、それに伴う神経伝導速度の低下が観察された。さらに、オリゴデンドロサイト特異的CHD8ヘテロ欠損マウスの行動解析を行ったところ、全身CHD8ヘテロ欠損マウスで観察された行動異常のうち、社会的行動の異常と不安様行動の増加を示した。一連の解析から、CHD8変異によるオリゴデンドロサイトの機能異常が自閉症の表現型に関与している可能性が示唆された。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)