2017 Fiscal Year Annual Research Report
超多端末環境における高信頼・低遅延無線ネットワークに関する研究
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17J02859
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 真 大阪大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 無線ネットワーク / 無線全二重通信 / Massive MIMO |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,下記の2つのテーマについて取り組んだ. 1)自己干渉除去を用いた無線全二重ネットワークに関する研究:一つ目の研究テーマは以下の2つの個別テーマに分けられる. 1-1)干渉除去技術によるエネルギー効率向上関する研究:自己干渉除去技術により,無線端末は同一周波数帯で同時に双方向全二重通信を行う事が可能となる.自己干渉除去技術では,同時に送受信を行う事が出来ることによって,送受信時間が短縮されることで無線ネットワークの通信に必要な消費電力が削減されると期待される.本研究では,自己干渉除去技術の同時送受信による省電力化を実現するメディアアクセスコントロール手法を設計した. 1-2)無線全二重通信レートアダプテーションに関する研究: 無線全二重通信は自己干渉除去を用いた同時送受信を行う事が出来る技術として着目されている.しかしながら,無線全二重通信の伝送レート制御に既存の半二重通信と同じ手法を用いると,アップリンクとダウンリンクの送受信時間が一致しない問題とユーザ間干渉という問題を招いてしまう.これらの問題はスループットの低下とエネルギー効率の低下を招く.そこで本研究では無線全二重通信の伝送レートを制御する手法を設計した. 3)複数アンテナを用いた伝送に関する研究: 無線通信を大容量化する技術として大量のアンテナを用いたMIMO通信であるMassve MIMOが着目されている.しかしながら,アンテナ数の増加に伴って必要なディジタル回路の個数が増大して,通信端末は莫大な電力を消費する.そこで本研究では,消費電力の少ないアナログ回路を組み合わせることで,消費電力を削減するAnalog-digital Hybrid Massive MIMOに着目した.アナログ回路を制御する手法を提案してMATLABシミュレーションにより評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1-1)干渉除去技術に関する研究:干渉除去技術による無線全二重通信を用いた無線LANにおいて消費電力を削減するメディアアクセスコントロール手法を設計するとともに,C++によるシミュレーションを利用してスループット・消費電力・エネルギー効率に関して定量的な評価を行った.本提案では,無線全二重通信のメディアアクセスコントロールに必要な制御フレームの伝送量を削減するためにOFDMのサブキャリアを用いたメディアアクセスコントロール手法を提案した.また,性能に関して数学解析による定性的な評価も行った.本研究成果は,IEEE Transactions on Green Communications and Networking に採録済みである. 1-2)無線全二重通信レートアダプテーションに関する研究: 無線全二重通信の伝送レート制御に既存の半二重通信と同じ手法を用いると,アップリンクとダウンリンクの送受信時間が一致しない問題とユーザ間干渉という問題に対処するために,4種類の無線全二重通信伝送レート手法を設計して評価した.本研究成果の一部は,著名な国際会議であるIEEE Globecomに投稿済みである. 2)複数アンテナを用いた無線伝送に関する研究: Analog-digital Hybrid Massive MIMOにおけるスイッチ制御手法を設計して評価した.設計した手法では遺伝的アルゴリズムに基づいてスイッチのオンオフを切り替えていくことで,高いエネルギー効率で大容量無線伝送を実現する.本研究成果は,著名な国際会議であるIEEE Globecomに投稿済みである.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,本年度の研究を踏まえて,1)自己干渉除去技術を用いた無線全二重ネットワークに関する研究ではこれまでの評価環境では,理想的なメディアアクセスコントロールが行える条件下でのレートアダプテーション手法について検討してきた.これまで検討してきたレート制御手法を実現するためのメディアアクセスコントロール手法について検討を行う.具体的には,C++を用いたネットワークシミュレータを作成して性能を評価によって複数ネットワークが存在する環境下での提案手法および比較手法の性能を明らかにする.その後,実環境での提案手法の性能を評価するために,ソフトウェア無線機を用いたトレースドリブンシミュレーションを行う. さらに複数の無線ネットワークが存在する環境で相互に与える干渉の影響を考慮した無線ネットワークのエネルギー効率に関する検討を行う.基礎的段階としてALOHAを用いた無線ネットワーク群がある場合の性能について解析する. 2)複数アンテナを用いた無線伝送に関する研究では,Analog-digital Hybrid Massive MIMOのスイッチ制御の計算量が大きく,収束までに時間が掛かるという問題がある.そこで短時間で計算の完了する最適化手法を設計する.設計した手法をシミュレーションによって定量的に評価を行う.評価によって提案手法および比較手法の計算量と性能の関係を明らかにする.
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Remarks |
受賞: 情報処理学会 マルチメディア・分散・協調とモバイル(DICOMO2017)シンポジウム 優秀論文賞 (2017年7月)
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Research Products
(9 results)