2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17J02948
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
西田 帆那 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 根粒共生 / 硝酸応答 / ミヤコグサ / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
窒素源の乏しい土壌においてマメ科植物は根粒を形成して根粒菌と共生関係を築いている。一方で窒素栄養(硝酸)が豊富な土壌においては宿主植物が根粒共生を抑制することが知られている。この窒素栄養に応答した根粒共生抑制制御には、マメ科植物のもつ根と地上部の全身的なシグナル伝達を用いた根粒形成数の負の制御機構(Autoregulation of nodulation (AON))が関与することが示唆されているが、詳細な分子メカニズムは不明な点が多い。 ミヤコグサ新規突然変異体nitrate unresponsive symbiosis 1 (nrsym1)は、高濃度の硝酸存在下でも成熟した根粒を形成する変異体であり、その原因遺伝子はNIN-LIKE PROTEIN (NLP)転写因子をコードする。本年度はNRSYM1が硝酸に応答して、AONにおいて根由来シグナルとして機能するCLE-RS2遺伝子の発現を直接誘導することを明らかにした。また、NRSYM1タンパク質の細胞内局在を観察した結果、無窒素条件では核外に局在するNRSYM1が、硝酸の添加によって核へ移行することを見出した。さらに、窒素栄養に応答した根粒共生抑制制御におけるCLE-RS2の機能を明らかにするためCRISPR-Cas9システムを用いたゲノム編集によってCLE-RS2遺伝子のノックアウト体を作出し、表現型を解析した。その結果、CLE-RS2遺伝子のノックアウト体では硝酸添加による根粒形成数の減少が観察されなくなることがわかった。以上のことからNRSYM1は硝酸に応答して核へと移行し、CLE-RS2遺伝子の発現を直接誘導して、AONと同様の機構により根粒形成数を負に制御していることが示唆された。 nrsym2変異体については次世代シーケンサーを用いたゲノムリシーケンスにより原因遺伝子を同定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
窒素栄養に応答した根粒共生抑制制御におけるNRSYM1の機能を明らかにし、その成果について論文を執筆してNature Communications誌に発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
NRSYM1は様々な下流因子を用いることによって、根粒共生を多面的に制御していると予想される。今後はRNA-seqによる野生型植物とnrsym1変異体との遺伝子発現比較及び、NRSYM1を用いたChIP-seqを行ってNRSYM1の標的遺伝子候補を探索し、根粒形成数以外の側面の制御に関与する因子の同定を試みる。またNRSYM2遺伝子の機能解析も進め、NRSYM1遺伝子との遺伝的な関係も明らかにする。
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Research Products
(6 results)