2017 Fiscal Year Annual Research Report
軽度認知障害及びアルツハイマー病患者におけるサルコペニアのメカニズムの検討
Project/Area Number |
17J03037
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
杉本 大貴 神戸大学, 保健学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | サルコペニア / アルツハイマー型認知症 / 軽度認知障害 / 大脳白質病変 / 脳萎縮 / 脳室拡大 / 身体機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、軽度認知障害から軽度アルツハイマー型認知症を対象として、脳萎縮や大脳白質病変などの中枢性病変とサルコペニアの関連性を明らかにすることである。 当初は、12ヶ月間の前向き観察研究を予定していた。しかし、研究実施施設における頭部MRIの撮像方法が研究期間中に1.5Tから3Tへと変更する可能性があり、中枢性病変の評価に用いる自動解析システムは、変更後の撮像方法3Tには対応していないことから、新たに前向き観察研究を行うのは困難と判断した。そのため、これまでに研究実施施設に蓄積されたデータベースを用いた後ろ向き研究にデザインを変更した。 平成29年度の主な課題は、ベースライン時の対象者の脳画像の評価と横断解析であった。脳画像の評価については、当初の選択基準を満たした311例の中枢性病変の評価を行った。中枢性病変は、T2強調画像及びFLAIR画像より、自動解析システムを用いて、脳実質、脳室、脳脊髄液、大脳白質病変の容積を測定した。横断解析については、脳画像の評価を行った311例のうち認知機能に強い影響を与えるような脳梗塞や脳出血等の局所病変が見つかった12例及びデータ欠損のあった9例を除いた290例で、中枢性病変とサルコペニアとの関連性を横断的に検討した。結果、サルコペニアの関連因子としては、年齢、性別、BMIが抽出され、いずれの中枢性病変もサルコペニアとの関連を認めなかった。そこで、中枢性病変とサルコペニアの下位項目である予測骨格筋量、握力、歩行能力との関連性についても検討を行った。結果、脳実質の容積は握力、歩行能力と有意な関連を認め、側脳室の容積は握力と有意な関連を認めた。これらの結果より、脳の萎縮や脳室拡大などの中枢性病変が、軽度認知障害や軽度アルツハイマー型認知症における身体機能の低下と関連することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ベースライン時の対象者の脳画像の評価と横断解析が主な課題であった。脳画像の評価については、当初目標症例数は340例であったが、現在311例と若干不足しており、一部計画通りに進行できていないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、当初の目標症例数340例を目指して、脳画像の解析を継続して行う予定である。加えて、中枢性病変がサルコペニアの発症及び身体機能低下に及ぼす影響について縦断解析を行う予定である。
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Research Products
(8 results)