2018 Fiscal Year Annual Research Report
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17J03060
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三根 敬一朗 九州大学, 大学院医学系学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | ウイルス / 糖尿病 / 感受性遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1型糖尿病はインスリン産生膵β細胞が何らかの原因で破壊されることにより、インスリン枯渇に陥る。インスリンの補充がなければ生命に関わり、社会生活に重度の支障をきたす疾患である。1型糖尿病、特にそのサブタイプである劇症1型糖尿病の発症にウイルスの関与が示唆されているが、発症機序は不明な点が多い。ウイルス性1型糖尿病モデルであるマウス脳心筋炎ウイルスD株(EMC-D)誘発糖尿病の感受性には、単一の遺伝子が関与していることが示唆されているが、EMC-Dウイルス感染により糖尿病を発症するDBA/2マウスの感受性遺伝子は未同定である。昨年に引き続き、DBA/2マウスのEMC-Dウイルス誘発糖尿病感受性遺伝子の同定に向けた解析を行なった。 膵β細胞における抗ウイルス反応を詳細に解析するため、EMCV-D感染マウスからFlow cytometryを用いて膵β細胞を高純度に単離し、網羅的な遺伝子発現解析を行った。その結果、DBA/2マウスの膵β細胞は B6マウスの膵β細胞に比較し、自然免疫関連の遺伝子発現が低いことが明らかになった。遺伝子ネットワーク解析を行なったところ、遺伝子Xが発現の低下していた自然免疫関連遺伝子を制御するハブ遺伝子であると推定された。未感染状態での遺伝子X発現には差が認められなかったが、EMCV-D感染時にはDBA/2マウスの膵β細胞のみでB6マウスよりも発現が低下していた。マウス膵β細胞株Beta-TC-6細胞を用いたsiRNAによる遺伝子X発現ノックダウン実験により、自然免疫関連遺伝子の発現低下を確認した。従って、DBA/2マウスは、膵β細胞特異的な遺伝子X発現上昇の乏しさにより、膵β細胞が破壊され、糖尿病を発症する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Flow cytometryで単離した膵β細胞の解析により、EMC-Dウイルスによる糖尿病発症防御に重要なのは膵β細胞のウイルス抵抗性であることを明らかにした。また、DBA/2マウスのEMC-Dウイルス誘発糖尿病の感受性遺伝子を推定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の検討により感受性遺伝子と推定された遺伝子Xに対して、発現低下のメカニズムを解析する。遺伝子X欠損マウスに対してEMC-Dウイルス感染実験を行うことで、発症防御に対する遺伝子Xの意義を検討する。これらの解析により、遺伝子XがDBA/2マウスにおけるEMC-Dウイルス誘発糖尿病の感受性遺伝子であるか検証を行う予定である。
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Research Products
(6 results)