2017 Fiscal Year Annual Research Report
The role of expectancies in negative mood regulation from cultural and developmental perspectives
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17J03078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浜村 俊傑 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 気分制御 / 文化比較 / 期待 / 飲酒行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は,まずデータ収集を終えていたネガティブ気分制御期待の日米比較研究のデータ分析を行った。先行研究からアメリカ人と比較して日本人においては抑うつ症状と身体症状の関連が高いと示唆されている文献が存在する中で,本研究に協力したアメリカ人大学生(n=208)および日本人大学生(n=158)の比較においては,違いが確認されず,ネガティブ気分制御期待は両方のグループにおいて同程度の関連がそれぞれ抑うつ症状(高程度)および身体症状(小~中程度)にて確認された。この知見の成果として『International Journal of Psychology』に掲載された。 飲酒がネガティブ気分を低減するためのコーピングとして用いられることが先行研究から確認されていることから,次に日本人を対象に飲酒行動とネガティブ気分に関する期待の関連を検証した。非問題飲酒者(346名)および問題飲酒者(158名)に分類し飲酒量と期待の関連を分析した結果,非問題飲酒者においては「ストレスの影響を取り除くために飲酒する」期待が飲酒量との正の関連が示唆された一方で,問題飲酒者においては「飲酒は身体的不調および落ち込みに繋がる」期待が飲酒量と負の関連が示唆され,効果量はいづれも小程度であった。 近年スマートフォンのアプリケーション(以下アプリ)による介入が進んでいることから,ネガティブ気分などを振り返るアプリの単独効果を検証した。中程度のネガティブ気分を感じていると報告した成人557名を対象に,アプリを1ヶ月利用してもらった。アプリの利用は抑うつや飲酒量が高まった結果となった。この理由として,ネガティブ気分を振り返ることによりネガティブ気分に対する意識が高まったことが示唆され,アプリの単独介入の工夫が課題として指摘された。この研究の成果は『JMIR Mental Health』にて掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度に予定していた研究を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は文化的検討を継続しつつ,残りの研究課題である発達的検討を行う。
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