2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17J03156
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石井 隆太 慶應義塾大学, 商学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | マーケティング・チャネル / 流通 / デュアル・チャネル / 資源ベース理論 / 組織能力 / 生産財流通 / チャネル・コンフリクト |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の年間研究計画においては、デュアル・チャネルの選択に関する研究を行うことを大目標として設定した上で、(1)既存研究レビューの精緻化と仮説の設定、(2)データの準備と実証分析の実施、(3)文章の執筆と論文の投稿、および、(4)学会での発表という下位目標を達成する必要があった。 第1に、デュアル・チャネルに関する実証研究、および、取引費用理論や資源ベース理論に関する理論研究の入念なレビューを実施した。さらに、それを踏まえて、デュアル・チャネルの選択に直接的な影響を及ぼす要因を同定するための仮説を設定することができた。第2に、部品や原材料のような生産財を製造している企業273社から得られたデータを用いて、多項ロジスティック回帰分析を行い、組織能力がデュアル・チャネルの選択に影響を及ぼすという仮説を支持する結果を得ることに成功した。第3に、実証分析の結果を取りまとめて、文章の執筆を行った。そして、現在、学術誌への投稿準備を進めている。第4に、実証分析の内容は、3つの国際学会にて、査読をパスし、発表することが許可された。各学会で発表することによって、世界中のマーケティング研究者たちから、研究を高質化するための知見を得ることができた。 さらに、平成28年度以前の研究、すなわち、デュアル・チャネルの成果に関する研究を精緻化するという、平成30年度に実施予定の研究にも着手することができた。具体的には、デュアル・チャネルを選択した企業が、チャネル間の対立(コンフリクト)に直面し、ひいては企業成果が低まってしまうということについて、仮説を精緻化し、再分析を行った。この研究内容について、国内の学会で発表し、研究を高質化するための有益な知見を得ることができた。さらに、文章の執筆を行い、国内の査読付き学術雑誌への掲載が受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度(第1年度)には、平成29年度に実施予定の研究だけではなく、平成30年度(第2年度)に実施予定の研究にも一部着手することができた。また、平成30年度に実施予定の研究については、平成30年4月の時点において、当初の計画どおりの滑り出しを見せている。したがって、本研究課題の進歩状況については、当初の計画以上に進展していると評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、平成30年度ならびに平成31年度も、平成29年度と同様に、各年度の研究計画を着実に遂行することに他ならない。 平成30年度の研究目標は、デュアル・チャネルの選択に及ぼす影響の促進要因を探究することである。具体的に取り組むべきは、(1)既存研究レビューの精緻化、(2)調査の実施、(3)論文執筆、(4)学会での発表の4点である。(1)既存研究レビューの精緻化に関しては、促進要因を特定化するために、流通チャネル論および経済学・経営学における重要文献をレビューする。(2)調査の実施に関しては、既存研究の調査方法に準拠した上で、日本企業を対象とした大規模な質問紙調査法、ならびに、それに先立つ聞き取り調査を実施する。(3)論文執筆に関しては、既存研究レビューの精緻化および調査の実施と並行して行う。(4)学会での発表については、国内外で研究発表を行うことによって、研究を高質化するための示唆を得たい。 加えて、平成31年度の研究計画として予定されている博士論文の完成を見据えて、平成29年度以降に行った研究との整合性を高めるために、平成28年度以前に行った研究の再分析を実施する。
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