2017 Fiscal Year Annual Research Report
M・K・ガーンディーの宗教政治再考:グジャラートの宗教詩人からの影響に注目して
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17J03251
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
間 永次郎 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | M. K. ガーンディー / ブラフマチャリヤ / グジャラート文学 / ナショナリズム / 宗教政治 / インド思想史 / 植民地主義 / 南アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年(4月から12月)においては、主に以下の(1)から(4)の研究活動を行った。 (1)ガーンディーが記したグジャラーティー語の一次史料、及び、グジャラーティー語とヒンディー語の二次史料の精読・分析を行った。後者の二次史料については、主に宗教学者のNeelima Shukla-Bhattにより編纂されたグジャラート詩人の詩集(2011)と歴史家のSudhir Candraのヒンディー語の先行研究を中心的に扱った。(2)本研究課題の重要な研究対象の一人であるグジャラート詩人のGovardhanram Tripatiの文学作品(Sarasvaticandr, 1887-1901)の研究を行った。これらの(1)と(2)の研究により、ガーンディーの宗教政治思想やブラフマチャリヤ思想の重要な源泉になりうる19世紀グジャラートにおける社会的・宗教的な思想状況の一部が明らかになった。(3)本年度の研究成果を国際誌のModern Asian Studies (Cambridge University Press)と『アジア・アフリカ地域研究』(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)で出版した。(4)6月から7月にかけて、カナダとタイで開催された国際学会で研究発表を行った。 2018年(1月から3月)においては、以下の(1)と(2)を行った。 (1)2月から3月にかけて、インド・ニューデリー市のNehru Memorial Museum and Libraryで史料調査を行った。これにより、ガーンディーとその同時代人の政治的な繋がりや思想的関係性についての新たな知見を得た。(2)3月には、東京大学本郷キャンパスで開催された国際シンポジウム("Secular Religiosity and Religious Secularity")で研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで、筆者の文献精読、論文執筆、研究発表については、ほぼ計画通りに進んでいる。特に、3月に開催された国際シンポジウムの参加により、国内外の研究者ネットワークを大幅に広げることができた。 一方で、国外の史料調査の期間については、国内の研究活動の都合上、当初想定していたよりも若干短くなった。そのため、本年度はグジャラートで史料を収集することができなかったが、代替となりうる重要な史料の多くをデリーで入手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、中世から近代にかけて活動したグジャラート詩人(Narasinha Mehta, Mirabai, Akho Bhagat, Shamal Bhatt, Dayaram)の文献史料をグジャラート州のアフマダーバード市にある研究機関等で収集することを計画している。そして、これらのグジャラート詩人の文献精読・分析を続けて、これまで十分に解明されていなかったガーンディーの宗教政治思想と中世~近代グジャラートの思想状況との影響関係を明らかにしていく。 上記の研究により得られた成果は、来年の7月にインドのニューデリー市で開催されるAssociation for Asian Studies in Asiaを中心とした国際学会の場で発表することを予定している。 加えて、来年度は現在進行中の研究活動と内容的に密接に関わる博士論文の出版を予定している。さらに、この日本語で出版された本を英語に翻訳し出版することも計画している。 また今後、筆者の研究活動の幅を国際的に広げるために、A. Raghuramaraju教授の紹介により、Jay Garfield教授やNalini Bhushan教授等を中心に国際的に展開している現代インド哲学に関する新しい研究チームにも参加する予定にある。
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[Book] インド文化事典2018
Author(s)
インド文化事典編集委員会
Total Pages
282-283頁、442-443頁
Publisher
丸善出版
ISBN
4621302353