2018 Fiscal Year Annual Research Report
M・K・ガーンディーの宗教政治再考:グジャラートの宗教詩人からの影響に注目して
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17J03251
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
間 永次郎 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | M. K. ガーンディー / ブラフマチャリヤ / グジャラート文学 / ナショナリズム / 宗教政治 / インド思想史 / 植民地主義 / 南アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度においては、主に以下の(1)から(4)の研究活動を行った。 (1)ガーンディー、及び、ガーンディーに影響を与えたと考えられる中世・近世グジャラートの宗教詩人によるグジャラーティー語で書かれた著述(一次史料)と、これらの思想家に関するグジャラーティー語とヒンディー語で書かれた二次史料の精読・分析を行った。これにより、本研究の課題であるガーンディーの宗教政治思想の形成に不可欠な文化的な資源の重要部分を明らかにすることができた。 (2)本研究主題と関わる研究論文を、『社会思想史研究』第42号(社会思想史学会)と『南アジア研究』第29号(日本南アジア学会)から出版した。前者については、第8回社会思想史学会研究奨励賞を受賞した。加えて、本研究主題と関連したガーンディーの宗教政治思想、ブラフマチャリヤ思想に関する単著を、2019年2月に東京大学出版会から刊行した。 (3)2018年7月に、インド・デリー市で開催された国際会議で本研究成果を発表した。また、国内では5月と6月に二つのシンポジウムで研究発表を行なった。 (4)2019年2月から3月にかけては、グジャラート州アフマダーバード市にあるGujarati Sahitya Parishad、Gujarat Vidyapith、Sabarmati Ashramを拠点に史料収集を行なった。これにより、ガーンディーに関する未出版の文書、中世・近世・近代のグジャラート詩人に関する一次・二次史料を入手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度における採用者の文献精読、論文執筆、研究発表については、ほぼ計画通りに進んだ。 当初の予定通り、本研究課題と関連した単著を出版することができた。また、2018年7月に行なった国際研究発表においては、国内外の研究者のネットワークを広げることができた。2019年2月から3月にかけて行なったグジャラート州での史料調査においては、今後の研究を大幅に発展しうる重要な史料を発見することができた。 今後は本研究成果の国際的発信をより積極的に行なっていく必要を感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の6月までは、2018年度にグジャラート州で収集した史料の読解を中心的に行なっていく予定である。2018年7月から8月と2019年2月から3月には、再びインドでの現地調査を再度行う予定である。特に、夏期に計画しているグジャラートの滞在中は、現地で本研究主題に関するいくつかの講義も行う予定である。 加えて、2019年度はイギリス(British Association for South Asian Studies)とオランダ(11th International Convention of Asia Scholars)の国際会議で、本研究成果を発表する予定にある。また、2018年度に出版した単著の英訳の出版も計画している。 具体的な研究内容としては、2019年度においては、2017年度と2018年度で十分に分析することができなかった近代グジャラートの宗教詩人の著述や、これらの人物に関するグジャラーティー語の二次文献を中心的に精読・分析していく予定である。これによって、当初計画していた3年間の研究計画を完成することができる。
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