2017 Fiscal Year Annual Research Report
フラ・フィリッポ・リッピのスポレート大聖堂壁画 図像学的解釈
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17J03295
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡辺 有美 慶應義塾大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | フィリッポ・リッピ / マリア伝 / ウンブリア / 受胎告知 / 砂時計 / マリア論 |
Outline of Annual Research Achievements |
フラ・フィリッポ・リッピのスポレート大聖堂内陣壁画「聖母マリア伝」に関して、図像を中心に多角的な側面から検討し、その再評価を行うことを目的とする本研究の一年目は、《受胎告知》に焦点を絞り、砂時計の描写と関連性が推定される以下の三項目を念頭に調査を進めた。①エローリ枢機卿の周辺、②「節制」を含む美徳の概念と図像、③砂時計が数多く描かれている「書斎の聖ヒエロニムス」を含む一群の書斎主題である。 この研究に関しては、第70回美術史学会全国大会にて、「フィリッポ・リッピ(ca.1406-1469)のスポレート大聖堂壁画に関する一考察--《受胎告知》を中心に--」と題した口頭発表(2017年5月21日)を行い、この発表原稿に秋から冬にかけて行った調査を含め論文とした。この論文は、「フィリッポ・リッピのスポレート大聖堂壁画に関する一考察--《受胎告知》に描かれた砂時計を中心に--」として『美術史』に刊行予定である。さらに同壁画の一部であるスパンドレル部分の天使たちについての論文が、イタリアのキリスト教美術雑誌であるArte Cristianaのfasc.902, set./ott., v. CV, pp. 332-337に、Watanabe, Yumi.“Filippo Lippi’s Spoleto Frescoes: the scrolls held by angels on the triumphal arch spandrels”として掲載された。 ローマのマリア論専門の神学校で10月に行われたシンポジウムに参加することにより神学関係者と知り合う機会が与えられると共に、ローマでの調査を行うことができた。また、フィレンツェ、スポレート、ウンブリア地方を9月から12月にかけて、さらに英国(ロンドン、オックスフォード)での調査を1-2月にかけて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
一年目の研究調査は、当初の予定を遙かに超えて実施することができた。この理由には、「平成29年度若手研究者海外挑戦プログラム」の資金をもとにイタリアで三ヶ月以上調査を行うことができたことが挙げられる。この間、当初の予定以上にウンブリアとローマ近郊の関連場所での実施調査を行うことができた。また、フィレンツェのオランダ大学の美術史研究所に滞在を許可してもらったため、2018年12月に同研究所で行われたシンポジウムに参加すると共に、そこで多くの研究者らと知り合う機会が与えられた。また、この滞在期間に知り合った研究者らとは、2018年の1-2月にかけて赴いた英国での調査期間中にも連絡を取り合い、ロンドン大学のコートールド美術史研究所で行われた講演会にも特別に出席することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、本壁画物語伝制作に、ウンブリアという地方性、そしてフランチェスコ会が与えた影響を全般的に探る。特に《聖母の戴冠》場面に焦点を絞り、ウンブリア地方を中心にイタリア各地のフランチェスコ会が注文した同主題作品と比較・検討することとする。これまでの研究調査で入手した資料(史料)を読み込み、分析し、博士論文という形で成果を執筆する。また今後の研究活動継続のため、これまでの成果を学会などで発表する予定である。
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Research Products
(3 results)