2017 Fiscal Year Annual Research Report
Role of soluble epoxide hydrolase in pathophysiology of schizophrenia
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17J03385
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
馬 敏 千葉大学, 大学院医学薬学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 可溶性エポキシド加水分解酵素 / 統合失調症 / TPPU / PolyIC / 精神疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、多くの研究から炎症が統合失調症などの精神疾患の病態に関わっていることが報告されている。一方、可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH)は炎症に重要な役割を果たしていることが判っている。本研究では、統合失調症の病因・病態におけるsEHの役割を明らかにすると共に、統合失調症の予防法及び治療法の開発を行うことを目的とする。 今年度では、まず妊娠したddYマウスにPolyICを投与することによる、生まれた仔マウスの思春期(4週齢)および成熟期(10週齢)の脳の前頭皮質と海馬のCA1におけるsEHのタンパク質発現量が有意に増加することが確認した。また、同様にPolyICを投与したマウスから生まれた仔マウスでは成熟期における行動異常に対するsEHの阻害剤であるTPPUの治療効果を自発運動量や新規物体再認識テストを用いて検討した。その結果、TPPUを思春期から成熟期まで4週間飲ませたマウスでは、PolyICで誘発した仔マウスの成熟期における行動異常を有意に予防することが分かった。さらに、免疫組織化学を用い、仔マウスの成熟期における脳の前頭皮質のパルアルブミン陽性細胞を測定した。その結果は、TPPUを4週間飲ませたマウスの前頭皮質におけるPolyICで誘発したパルアルブミン陽性細胞の現象を有意に改善することも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH)は、PolyICを投与したマウスから生まれた仔マウスの成熟期に起きる行動異常に関わっていることを確認し、さらにsEHの阻害剤がPolyICで誘発した行動異常を抑制したことが判った。計画通りの良い結果を得られたため,順調に進展していると思います。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、母体感染モデルにおいて、生まれた仔マウス脳ではsEHの活性化が生じ、統合失調症様の行動異常を引き起こすことが示唆された。また、sEH阻害剤は統合失調症の発症を予防できる可能性が示唆された。引き続き、来年度では、Western blotやRT-PCRなどの生化学的な方法を用い、マウス脳の各部位における関連タンパク質およびmRNAを測定し、詳細なメカニズムを明らかにする。さらに、得られたデーターをまとめ、国際雑誌に投稿し、学会で発表する予定です。
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Remarks |
千葉大学社会精神保健教育研究センター 解析研究部門 http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/shakai/jp/index.html
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