2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17J03389
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
畑野 晋也 九州大学, 大学院医学系学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 自然免疫 / γδT細胞 / IFN-γ / Bcl11b / 細菌感染 / 生体防御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、IFN-γ産生γδT細胞にはBcl11b非依存的にCD4-CD8-(DN)2aより分化するBcl11b非依存性γδT細胞とBcl11b依存的にDN3より分化するBcl11b依存性γδT細胞の2種類存在する意義を明らかにすることを目的とし、Bcl11b条件付き欠損マウスを主に用いて、Bcl11b非依存性γδT細胞の解析を行った。DNAマイクロアレイ解析による網羅的な遺伝子発現解析やフローサイトメトリーによる染色解析の結果、Bcl11b非依存性γδT細胞はCD5-NK1.1+Granzyme B+であり、γδT細胞受容体の刺激によりカルシウム流入を伴わずIFN-γを産生することができ、3週齢の野生型マウスでは肝臓に豊富に存在することがわかった。また、γδT細胞欠損マウスとBcl11b条件付き欠損マウスを交配させたマウスにおけるリステリア感染実験の結果、感染後1日目および3日目の肝臓と脾臓における細菌数はBcl11b条件付き欠損マウスよりも有意に高かったことから、Bcl11b非依存性γδT細胞はリステリア感染後早期の防御に寄与することが明らかとなった。さらに、野生型マウスにおけるリステリア感染実験の結果、感染後3日目の肝臓では、IFN-γおよびGranzyme B、またはGranzyme Bを産生するエフェクターγδT細胞の主な集団はBcl11b非依存性CD5-NK1.1+γδT細胞であり、感染後5日目ではBcl11b依存性CD5+NK1.1-γδT細胞であった。これらの結果から、細菌感染後、Bcl11b非依存性CD5-NK1.1+γδT細胞はBcl11b依存性CD5+ NK1.1-γδT細胞よりも早期に現れ感染防御に寄与することが明らかとなった。また、この感染防御に関わる時期の違いは、胸腺内における発生中のそれらγδT細胞の経時的な出現に似ていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度では新規IFN-γ産生γδT細胞サブセットでありBcl11b非依存的にCD4-CD8-(DN)2aより分化するBcl11b非依存性γδT細胞の特徴及び細菌感染時の生体防御機能の解析を行った。Bcl11b非依存的にDN2aより発生するγδ T細胞のみ解析可能であるBcl11b条件付き欠損マウスを用いて、γδT細胞受容体刺激時のγδT細胞における細胞内カルシウムを解析した結果、Bcl11b非依存性γδT細胞はγδT細胞受容体刺激時にカルシウム流入を伴わずIFN-γを産生できる特徴を見いだした。次に、DNAマイクロアレイ解析による網羅的な遺伝子発現解析やフローサイトメトリーによる染色解析の結果、平成29年度の研究計画であったBcl11b非依存性γδT細胞の表面マーカーを同定し、その際Bcl11b非依存性γδT細胞では細胞内寄生菌に対して感染防御に働くGranzyme Bの発現が高く認められたため、引き続き平成30年度の研究計画であったリステリア感染に対するBcl11b非依存性γδT細胞の生体防御機能の検討を行った。その結果、Bcl11b非依存性γδT細胞はリステリア感染後1日目および3日目という感染早期に感染防御に寄与し、さらにBcl11b非依存性γδT細胞はBcl11b依存性γδT細胞よりも早期に現れ細菌感染防御に寄与することが明らかとなった。以上のように、本年度ではBcl11b非依存性γδT細胞の特徴を同定し、感染に対する生体防御に関わる時期がBcl11b非依存性γδT細胞とBcl11b依存性γδT細胞では異なることを見いだしたことから、平成29年度および平成30年度の研究計画に対して結果を示し、さらに本研究成果をCell Reportsに発表した(Hatano Shinya, et al., Cell Rep., 2017)ことから、当初の計画以上に進展したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度では、平成30年度の研究計画に対しても結果を示したことから、今後の研究推進方策として新たに研究計画を提示する。平成29年度においてBcl11b非依存性γδT細胞の表面マーカーの同定を行った際、無刺激時ではIL-15受容体として知られているCD122の発現が高いことがわかっている。また、IL-15欠損マウスの腹腔内におけるIFN-γ産生CD122+γδT細胞の絶対数が、野生型マウスと比較して減少することが報告されている(Shibata K., et al., J Immunol.,2008)。そして、胸腺に存在する胸腺髄質上皮細胞よりIL-15が産生されることが報告されている(Cui Guangwei, et al., Proc Natl Acad Sci U S A., 2014)。以上のことから、胸腺髄質上皮細胞より産生されるIL-15がBcl11b非依存γδT細胞の胸腺における分化もしくは維持に機能する可能性が示唆される。よって、平成30年度の新たな研究計画として、IL-15のBcl11b非依存性γδT細胞への役割を検討することを目的とし、IL-15欠損マウスの胸腺および肝臓におけるBcl11b非依存性CD5-NK1.1+γδT細胞を野生型マウスと比較して解析を行い、新規IFN-γ産生γδT細胞サブセットであるBcl11b非依存性γδT細胞の特徴をさらに詳細に解析する。
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Research Products
(3 results)