2019 Fiscal Year Annual Research Report
卑金属ナノ粒子触媒の創成を基軸とする新規触媒反応の開発
Project/Area Number |
17J03451
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 耀平 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | コバルト触媒 / 有機マグネシウム / 末端アルキン / 交差二量化反応 / DFT計算 / 反応機構解明 |
Outline of Annual Research Achievements |
1,3-エンイン化合物は、π共役系化合物や生理活性物質を合成するための重要な中間体である。1,3-エンイン化合物を合成するためのアトムエコノミーとステップエコノミーに最も優れた手法として、二種類の末端アルキンの交差二量化反応が知られている。しかし、E体、Z体、gem体といった、複数の位置異性体や幾何異性体が生じうるだけでなく、それぞれの末端アルキンのホモ二量化反応やオリゴマー化反応が競合しうるため、目的の立体構造を有する1,3-エンイン化合物を高選択的に合成できる手法の開発は喫緊の課題であった。私は、2,9-位に非常に嵩高い置換基を有する1,10-フェナントロリンが配位したジクロロコバルト(II)錯体1を合成し、触媒量の有機マグネシウム試薬を用いて錯体1の活性化(還元)を行ったところ、二種類の末端アルキンの高E体選択的な交差二量化反応が進行することを見出した。本反応ではフェナントロリン上の嵩高い置換基により基質の立体を認識し、交差二量化反応が選択的に進行し、さらにE体以外の幾何異性体 (Z体、gem体) は全く副生しなかった。また、ホモ二量体の副生も最大で5%までに抑制することに成功した。 本反応の触媒活性種の同定を目的に、ジビニルテトラメチルジシロキサン存在下、錯体1に対して有機マグネシウム試薬を作用させたところ、0価のコバルト錯体2の単離に成功した。錯体2 は有機マグネシウム試薬の非存在下でも高い触媒活性を示したことから、本反応の触媒活性種はコバルト(0) 錯体であることを明らかにした。また、重水素化標識実験および理論計算を行い、末端アルキンの酸化的付加を経由する機構で反応が進行していることを明らかにした。本研究は国際的に高い評価を受け、その研究成果は速報論文として Angewandte Chemie International Edition 誌に受理された。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)