2017 Fiscal Year Annual Research Report
ミドリイシ属サンゴにおける環境周期適応機構の生理学的解析
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17J03649
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
武方 宏樹 琉球大学, 理学部 海洋自然科学科 生物系, 特別研究員(PD) (60814192)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | Acropora tenuis / 生活史 / RNA-seq / 月周性 / 年周性 / サンゴ |
Outline of Annual Research Achievements |
造礁サンゴの一種であるウスエダミドリイシAcropora tenuisは、初夏の満月の夜に産卵する。サンゴの産卵リズムに関する研究は野外観察に基づく生態学分野の報告がほとんどで、産卵リズムが内因性の生物時計によって制御されているのか、どの環境要因を指標に産卵する時期や時刻を決定しているのかなど、産卵リズムの性質や生理学的背景に関する知見は十分に得られていない。本研究は、ウスエダミドリイシの産卵にみられる季節性と月周性影響する環境要因と、産卵リズムの生理機構について調べることを目的とする。本年度は、水温・日長を制御できるサンゴ飼育水槽のセットアップと、産卵リズムに関連する遺伝子の探索を目的としたRNA-seq による網羅的発現解析を行った。琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設の屋内飼育スペースに暗室を3つ用意し、それぞれに生海水掛け流し水槽を設置した。各水槽の上流に水温調節水槽を設置することで、同じ生海水を使用しながら水温の違いを比較検証できるようにした。個室の中にLEDライトを設置し、ライトの電源をタイマー制御することで日長を調節した。また、暗室内にWeb カメラを設置し、サンゴの様子を常に観察・記録できるようにした。RNA-seqには、産卵前にあたる5月の満月、産卵が観察された6月の満月、産卵翌月の7月の満月のサンプルを用いた。瀬底研究施設前にて採集したウスエダミドリイシからRNA を抽出した後、次世代シークエンサーを用いて配列決定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、ウスエダミドリイシに加えて近縁種であるコユビミドリイシAcropora digitiferaを用い、2種のサンゴを比較しながら研究を進める予定であった。しかしながら、予備実験において、コユビミドリイシがウスエダミドリイシと同程度の光強度では生育できず、2種の同時飼育が現状では困難であることが判明した。そこで、今回は飼育が比較的容易なウスエダミドリイシのみを用いて、実験を行うこととした。 本年度から飼育実験を開始する予定であったが、機材の準備や設置に予想以上の期間を要してしまい、水槽のセットアップまでにとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
飼育水槽を活用し、日長・水温の変化がウスエダミドリイシの生殖腺発達に与える影響や、月周性が実験室条件でも維持されるかを検証していく。 RNA-seqに関して、発現解析を進めていき、サンプル間で発現が異なる遺伝子をスクリーニングし、産卵に伴って発現が変動する候補遺伝子を選定する。
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