2017 Fiscal Year Annual Research Report
天の川銀河ハロー領域の広天域観測を用いたダークマター空間集積史の解明
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17J03653
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新倉 広子 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | ダークマター / 原始ブラックホール / マイクロレンズ / 差分画像法 / こと座RR型変光星 / かんむり座R型変光星 / 宇宙ひも |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では暗黒物質の性質を観測的に解明することを目的としている。主テーマの1つとして、暗黒物質の有力な候補天体である原始ブラックホールの性質探査に取り組んでいる。昨年度までに原始ブラックホールによるマイクロレンズイベント探査を目的とした観測を1晩遂行し、取得したデータの解析と考察を進めてきていた。本年度は波動効果を含めた解析に取り組み始め、原始ブラックホールの存在量に関してより厳密な検証を進展させた。加えて変光天体の性質を追検証するため、マイクロレンズイベント探査用の観測を新たに1晩実施した。追観測のデータに関しては一次処理を一通り終えて、マイクロレンズ探査解析を進めるための準備を整えた段階である。 もう1つの主テーマである天の川銀河の構造探査では、距離トレーサー変光星のカタログを構築して統計的にダークハローの空間構造を解析することを目指している。本年度はこれまで開発してきた変光天体検出法をすばるHSCのサーベイ観測のデータに適用して、特異な変光パターンを示す変光星候補を検出するための手法の開発に取り組んだ。検証の結果、サーベイ観測のデータから変光星を抽出するためには、当初の想定よりも詳細にデータの検証を行なう必要があることが明らかとなった。一方で、HSCのアーカイブデータを活用して変光天体の性質を調べた結果、特異な減光パターンの星に着目することで天の川銀河の構造形成に関わる新たな示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
主テーマの1つである原始ブラックホールの性質探査に関しては、追観測で取得したデータの一次処理を達成しており、期待通り研究が進展していると言える。もう1つの主テーマである天の川銀河の構造探査に関しても、当初の想定よりも詳細な画像データの検証が必要なことが明らかになったものの、変光天体の探査法の整備を進展させることができた。加えて特異な変光パターンを持つ変光星に着目して新たな切り口で研究を進めることができており、期待以上の進展があったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
原始ブラックホールの性質探査に関しては、今後追観測データのマイクロレンズ解析を行って、原始ブラックホールの存在量に対して現状よりも強い示唆を得ることを目指す。天の川銀河の構造探査に関しては、変光天体の性質探査法の整備を進めて変光星のカタログを作成することを目指す。
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Research Products
(6 results)