2017 Fiscal Year Annual Research Report
性選択が駆動するテナガショウジョウバエの誇張化形質の変化に関する実験進化学的検証
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17J03724
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 愛弓 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | テナガショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,テナガショウジョウバエの闘争性・求愛行動が異なる性選択下においてどのように変化するかを検証するとともに,これらの形質の変化にどのような遺伝子が関係しているのかについて検証することを目的としている.具体的には,“どんなオスから求愛されても交尾を受け入れる”系統のメスに対して,基本系統のオスを提示し,オス間競争のみが起こるような状況を設定した実験と“特別な求愛行動(Leg vibration)を行わないようなオスとの交尾を行いにくい”系統のメスに基本系統のオスを提示し,オス間競争に加えてメスによる選り好みも起こる状況を設定した実験を行う. 2017年度は,主に進化実験に用いる基本系統の確立を進めた.基本系統の作成は,所属する研究室で維持している15の単一メス由来自殖系統を用いて行った.第一世代では,まず15系統からそれぞれ未交尾成虫を雌雄別々に集めて1週間程度,系統・雌雄を分けて飼育を行う.その後,7~9日齢の個体を10頭ずつ(15系統×雌雄:計300頭)プールし,35本のプラバイアルに雌雄4頭ずつ(計8頭)をランダムに再分配して交配させて,次世代の子を得る。2世代目以降からは,各バイアルからそれぞれ未交尾成虫を雌雄別々に集めて1週間程度,系統・雌雄を分けて飼育を行う.その後,7~9日齢の未交尾成虫を5頭ずつ(雌雄:計350頭)をプールし,35本のプラバイアルに雌雄5頭ずつ(計10頭)をランダムに再分配した。以上のような手順で掛け合わせを5世代行うことで,基本系統を確立した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基本系統の作出にあたって,初代において15系統同時に掛け合わせを行うため各系統の成虫発生時期を同調させる必要があった.成虫の羽化時期のずれにより,当初の予定よりも遅れが生じたものの,基本系統の作成を2017年度中に完了することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
計画に準じて,進化実験を進め,行動のスコアリングを行う.初代と進化実験後とで行動に興味深い違いが検出された場合には,冷凍サンプルを用いてゲノムリシークエンスを行い,遺伝子頻度の違いを調べる予定である.
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