2018 Fiscal Year Annual Research Report
Testing the grand unified theories by searching for lepton flavour violation
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17J04114
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中尾 光孝 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | シンチレーションカウンター / 陽電子 / 荷電レプトンフレーバーの破れ / 時間較正 / SiPM / 光検出器 / 新粒子探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、荷電レプトンフレーバーの破れ (CLFV) と呼ばれる未発見の現象の探索である。そのために私は国際共同MEG II実験に参加しており、スイスのポール・シェラー研究所の世界最高強度直流ミュー粒子ビームを用いて、ミュー粒子のCLFV探索へ向けた研究開発を行ってきた。特に、前年度までに陽電子の時間を高精度で測定する検出器である、陽電子タイミングカウンターに取り組み、その開発・実機建設を概ね完了し、実際の実験環境下での性能評価を行った。 本年度の目標は、検出器のメンテナンス、他の検出器との統合、そして物理解析であった。 検出器のメンテナンスについては前年度および当該年度に判明した問題に対処することができ、2019年度以降の物理ランへ向けた準備が整った。また、陽電子タイミングカウンターの時間較正システムについてもアップグレードをし、前年度に購入した光学スイッチを実際に運用することができた。 前年度のビームテストでは全ての検出器が揃っていなかったが、本年度は他の検出器とのメカニカルな統合試験を行うことができた。検出器インストール時のメカニカルなコンフリクトをポール・シェラー研究所のスタッフやイタリア人共同研究者とともに解決し、メカニカルな整合性を確かめた。 以上の研究と並行して、これまでになされてきた荷電レプトンフレーバーの破れの探索は、物理的背景としては重い新粒子の媒介を想定していた。しかしその兆候は見つかっておらず、発想を変えて軽い新粒子の媒介を仮定する探索解析も必要である。こうしたモチベーションのもとで新しい探索モードの解析に向けた準備を始めた。既存の再構成アルゴリズムの改良や新しい探索モードの解析への最適化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、検出器のメンテナンス、他の検出器との統合、そして物理解析であった。「研究実績の概要」で述べたように、前年度から本年度にかけて検出器のメンテナンスやアップグレードを行い、MEG II実験の開始へ向けて着実に研究を進展させることができた。さらに最終年度に向けて研究目標である「荷電レプトンフレーバーの破れの探索による大統一理論の検証」につなげるべく、MEG実験のデータ解析を開始することができた。 以上のように実際に目標を達成することができたので「おおむね順調に進展している。」と結論づけた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、陽電子タイミングカウンターを含む全ての検出器での同時データ取得を目指して準備を進める。一方で、本研究の最終目標である荷電レプトンフレーバーの破れの探索解析を行う。
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