2017 Fiscal Year Annual Research Report
電波掩蔽法を用いた金星熱潮汐波の三次元構造とスーパーローテーションの成因解明
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17J04254
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
安藤 紘基 京都産業大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 金星大気 / スーパーローテーション / 電波掩蔽観測 / あかつき / Venus Express |
Outline of Annual Research Achievements |
金星探査機「あかつき」の電波掩蔽観測データを解析し、その気温データから金星スーパーローテーションの駆動メカニズムとして重要視されている熱潮汐波を捉えることが研究目的である。「あかつき」が最初の軌道投入に失敗した影響で、人工衛星の金星周回周期が約10日と非常に長くなり電波掩蔽観測の機会が少ないため、気温データから熱潮汐波の構造を取り出すには長期間の観測が必要と予想された。しかし、短期間での観測データから幸運にも金星雲層より上に伝播する熱潮汐波と思しき構造を捉えることに成功し、また金星大気大循環モデルAFES-Venusを用いて再現された熱潮汐波の構造とも良く合っていることが分かった。現在、この結果について論文に纏めてJournal of Geophysical Researchに投稿中である。 研究代表者は、雲層より下に伝播する熱潮汐波に伴う気圧変動も捉えつつある。雲層より下に伝播する熱潮汐波は、金星大気スーパーローテーションの駆動に最重要であると予想されているため、捉えることができれば長年の謎を解明するための大きな手がかりを得ることに繋がる成果である。来年度実施される電波掩蔽観測のデータを加えてサンプル数を増やし、結果の確実性を向上させる。さらに力学モデルとの比較により、上下伝播する熱潮汐波による運動量輸送の定量的評価も試みる。そのための準備も今年度中にほぼ完了しており、データが順調に取得され次第、速やかに解析して結果を論文として公表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「あかつき」の金星周回周期が約10日と非常に長く、電波掩蔽観測の機会が少ないため、気温データから熱潮汐波の構造を取り出すには長期間の観測が必要と予想されたが、金星雲層より上に伝播する熱潮汐波と思しき構造を捉えることに成功した。また、金星大気スーパーローテーションの駆動メカニズムとして重要視されている下方伝播する熱潮汐波に伴う気圧変動も捉えつつあり、周回周期が長い問題を克服できそうな予想外の成果を出すことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度実施される電波掩蔽観測のデータを加えてサンプル数を増やし、結果の確実性を向上させる。さらに力学モデルとの比較により、上下伝播する熱潮汐波による運動量輸送の定量的評価も試みる。金星大気スーパーローテーションの駆動メカニズムについて、観測と理論の両面から考察する。そしてこれらの成果を速やかに論文として纏めて、科学雑誌に投稿すると共に積極的に国際学会にて発表したい。
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Research Products
(6 results)