2017 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムワイド関連解析を用いたマメ科植物-根粒菌共生特異性の進化動態の解明
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17J04284
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
番場 大 千葉大学, 融合理工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | ミヤコグサ / 根粒菌 / 共生 / 水平伝播 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ゲノム多型情報を用いて、ミヤコグサ種内に生じつつある共生特異性の遺伝的分化を検出し、その進化プロセスを理解することを目的としている。2017年度はミヤコグサが各自生地で共生している根粒菌相を明らかにするために、実際に自生地に赴き、各地でどのような根粒菌と共生しているのかを調査した。調査は宮古島から北海道にわたる14地点にて行われ、合計104株の根粒菌を採取した。採取した根粒菌は3つのハウスキーピング遺伝子と4つの共生遺伝子の塩基配列を用いて遺伝子型を決定した。ハウスキーピング遺伝子を用いた系統解析の結果、ミヤコグサは、Mesorhizobium属内で非常に多様な系統と共生関係を築いていることが明らかとなった。一方で、ミヤコグサに共生する多様なMesorhizobium属根粒菌のすべてが、非常に類似した共生遺伝子を持っていた。ハウスキーピング遺伝子と共生遺伝子を比較すると、共生遺伝子では同義置換サイトおよび非同義置換サイトの両方で多様性が低下しており、またGC含量においても低下していた。これらのことから、多様なMesorhizobium属根粒菌がミヤコグサとの共生に必要な共生遺伝子を水平伝播によって獲得したことが示唆される。また、ハウスキーピング遺伝子と共生遺伝子の両方において、同じ遺伝子型が複数地点より採取されることはほとんどなく、系統関係と採取地域の間に明確な相関は見れらなかった。さらに、AMOVA解析においても集団間でハプロタイプの分布に有意な差があることが明らかとなった。これらのことから、ミヤコグサは各生息地で異なる遺伝子型をもつ根粒菌と共生していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後の実験に継続して用いられる根粒菌を十分数採取できたことから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
植物側の遺伝子型によって共生関係がどの程度規定されているのかを明らかにするために、ミヤコグサ野生系統への根粒菌接種実験を行う。接種実験は2017年度に採取した根粒菌より選抜した9株とミヤコグサ野生系統15系統を用いた135セットの組合せ絵行う。また、接種実験に用いられる9株はより詳細な遺伝的バックグラウンドを明らかにするために、nanoporeを用いたゲノムシーケンスを試みる。
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Research Products
(3 results)