2017 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞由来肝細胞の成熟化と薬物毒性・代謝試験及び肝炎ウイルス試験への応用
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17J04585
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三谷 成二 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 肝細胞 / 薬物代謝 / B型肝炎ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、創薬研究(毒性試験や代謝試験および肝炎ウイルス試験)に応用可能な肝細胞をヒトiPS細胞より分化誘導する技術の開発とその評価を目的としている。そのため、まず、薬物代謝能など肝機能の高い肝細胞をヒトiPS細胞より分化誘導するため、肝臓内の細胞間環境に着目した検討を実施した。方法としては、肝臓を構成する肝細胞や胆管上皮細胞、肝星細胞などの培養上清を用いてヒトiPS細胞由来肝細胞を培養したのちに、薬物代謝酵素の遺伝子発現やその活性を調べ、各種細胞からのヒトiPS細胞由来肝細胞への影響を評価した。その結果、肝細胞の培養上清による培養により、種々の薬物代謝関連酵素の遺伝子発現量が向上すること、および、薬物代謝酵素であるcytochrome P450 3A4の活性が向上することを明らかとした。また、肝細胞の培養上清を用いて培養を行ったヒトiPS細胞由来肝細胞においてWNTシグナルが活性化していた。そこで、ヒト初代培養肝細胞や肝癌由来細胞株(HepG2細胞)などの肝細胞におけるWNTシグナルのリガンドの発現プロファイルを取得し、薬物代謝能向上に寄与する因子の探索を試みた。その結果、肝細胞の培養上清中のWNTシグナルのリガンドであるWNT7BおよびWNT8BがヒトiPS細胞由来肝細胞の薬物代謝能向上に寄与していることを明らかとした。 また、ヒトiPS細胞由来肝細胞のB型肝炎ウイルス(HBV)in vitro感染系としての有用性を評価するため、まず、現行の分化誘導法で得られるヒトiPS細胞由来肝細胞がHBVの感染複製能を有するか検討を実施した。方法としては、HBV恒常発現細胞株由来のHBV粒子を用いた感染実験を実施した。その結果、現行の分化誘導法で得られるヒトiPS細胞由来肝細胞がHBVの感染複製能を有することを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、肝細胞の培養上清を用いた培養により、ヒトiPS細胞由来肝細胞の薬物代謝能が向上することを明らかとした。また、肝細胞の培養上清中のWNTシグナルのリガンドであるWNT7BおよびWNT8Bが薬物代謝能向上に寄与していることを明らかとした(原著論文として発表)。今回得られた知見をもとに、より薬物代謝能の高いヒトiPS細胞由来肝細胞の分化誘導法の開発が期待される。また、現行の分化誘導法で得られるヒトiPS細胞由来肝細胞がHBVの感染複製能を有することも明らかとした(原著論文として発表)。以上から、本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの検討で得られた知見をもとに新規分化誘導法を構築し、それにより得られるヒトiPS細胞由来肝細胞に対して創薬研究(毒性試験や代謝試験および肝炎ウイルス試験)に対する有用性の詳細な評価を実施する。
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Research Products
(5 results)