2017 Fiscal Year Annual Research Report
植物ホルモン間クロストークの構造基盤解明と新規な有用形質制御剤の創製
Project/Area Number |
17J04676
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平林 佳 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
|
Keywords | 植物ホルモン / X線結晶構造解析 / 構造生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物ホルモンを中心とする内生生理活性物質は、植物生産性に関する重要な形質を制御しており、二酸化炭素固定能の向上とそれに基づくバイオマス増産に大きく寄与する物質である。2つの植物ホルモン、ストリゴラクトン(SL)とジベレリン(GA)は、それぞれ植物の「枝分かれ」「成長肥大」という、農業バイオマスに寄与する極めて有用な形質を制御している。本研究では、この2つの形質に基づく技術開発を見据え、植物ホルモンクロストークの観点から、SL、GAの情報伝達系に関わる因子の生化学/構造生物学的解析を押し進める。さらに、植物ホルモン機能制御剤の結合モデルを決定し、それをベースに構造活性相関研究を展開する。得られた成果は、植物本来が持っている生長のための潜在能力を顕在化・活性化させるための知見・技術として利用できる。今年度は、以下のような成果が得られた。
SL反応機構を理解するため、D14におけるSL結合様式の決定を目指し、保存された活性残基についての単一/多重変異体を用いて、各種SLアナログ存在下における結晶化スクリーニングを実施した。得られたいくつかの結晶について回折測定を行うとともに、より適切な結晶化条件の探索を進めている。 SLシグナル情報伝達抑制因子であるD53に関しては、全長および報告されている機能ドメインについて単離精製に成功した。また野生型および変異型D14と調製したD53を用いて、SLアナログ存在下におけるin vitro相互作用実験を行い、SL加水分解の必要性、シグナル伝達に必要な領域の検討を行った。さらに、D14-D53-SLアナログ三者複合体の結晶構造解析に向けて結晶化スクリーニングも行い、得られた微小結晶を用いて回折測定も行った。
以上の成果は、本研究計画のベースを固める重要なものであり、次年度の研究に繋がる有意義な結果である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」の達成のため、本年度の研究実施計画に基づいて実験を遂行した結果、おおむね予定通りの成果が得られたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は現在のところおおむね順調に進展しているため、今後の推進方策については、今年度の研究成果を踏まえ、次年度以降も、研究計画調書に記載した研究実施計画に沿って実施していく予定である。
|
-
-
-
[Journal Article] Methyl phenlactonoates are efficient strigolactone analogs with simple structure2017
Author(s)
Jamil M., Kountche A. B., Haider I., Guo X., Ntui O. V., Jia K., Ali S., Hameed S. U., Nakamura H., Lyu Y., Jiang K., Hirabayashi K., Tanokura M., Arold T. S., Asami T., Al-Babili S.
-
Journal Title
Journal of Experimental Botany
Volume: erx438
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-