2017 Fiscal Year Annual Research Report
多素子MIMOシステムのためのピーク電力制御および適応信号処理技術の研究
Project/Area Number |
17J04710
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
景山 知哉 九州大学, システム情報科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 多素子MIMO / 適応信号処理技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
送信基地局に多数のアンテナ素子を有する多素子MIMOシステムでは、アンテナ毎に設置された電力増幅器の効率改善が重要となる。特に、多素子MIMOにおいてマルチキャリア変調方式を用いる場合、信号の高いピーク振幅値が増幅器の効率を大きく低下させる要因となる。本研究の目的は、多素子MIMOの通信品質を保ちながら送信信号のピーク振幅値を制御可能な信号処理技術の開発である。本年度は、ピーク振幅値の制限時に発生する信号歪みを事前に与えられた許容値以下に自動で制御可能なピーク抑圧方式を提案した。種々の指向性制御技術を用いた多素子MIMOシステムに提案方式を適用した場合の達成可能なピーク振幅値の低減特性およびビット誤り率特性を計算機シミュレーションにより評価した。 また、多素子MIMOを屋内に展開する場合、屋内の既存通信網との連携することで効率的にトラフィックを収容できる。屋内通信技術としてマルチキャリア電力線通信に着目し、その課題を解決する手法について検討した。電力線通信では、伝送路に接続された電子機器が発生するインパルス性雑音の影響を受ける。そのため、閾値を超える受信値をインパルス性雑音とみなして除去する手法(ブランキング)が検討されている。しかしながら、マルチキャリア変調とブランキングを併用する場合、高いピーク振幅値がインパルス性雑音の検出特性を劣化させ、ブランキングに伴う信号歪みの増加を招く。インパルス性雑音の検出精度向上のためには、受信振幅値が低いことが望ましい。本検討では、送信信号と受信信号のピーク振幅値を共に低減する手法を提案した。提案方式では送信機側で受信信号を推定し、送信信号と受信信号のピーク振幅値の重みづけ和を最小とするようにマルチキャリア信号のデータマッピングを制御する。それにより、送信機での増幅器の非線形歪みを軽減しながら受信機でのインパルス性雑音検出特性を改善できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、多素子MIMOシステムにおけるピーク振幅制御技術について、その課題解決に有効な方式を示し、基礎的な評価検討を実施した。さらに、最大比合成規範の指向性制御を用いる多素子MIMOシステムに検討方式を適用した場合の達成可能なビット誤り率特性を解析する手法を示した。 また、電力線通信用のマルチキャリア変調信号に適用可能なピーク振幅値抑圧技術を提案し、送信電力増幅器の非線形歪みとインパルス性雑音の双方の軽減に有効であることを示した。 以上の通り、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
多素子MIMOシステムにおけるピーク振幅値制御技術について、初年度の得られた特性評価結果および解析結果に基づき、改良手法を検討する。多素子MIMOの余剰のアンテナ自由度を活用し、送信指向性制御と一体化したピーク振幅値制御手法を検討する。得られた結果について、成果の発表を行う。
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Research Products
(10 results)