2017 Fiscal Year Annual Research Report
ファクター多変量実現確率的ボラティリティ変動モデル
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17J04715
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 雄太 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | ベイズ統計学 / 高頻度データ / 計量ファイナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
多変量実現確率的ボラティリティ変動モデルにファクター構造を取り入れたモデルを提案し,シミュレーションデータ分析によるモデルの有効性を確認し,アメリカ株式市場のデータを用いた実データ分析によって現実の株式市場に対するモデルの当てはまりを示した.実データ分析の結果,個別の株式銘柄のボラティリティの大部分を共通するファクター部分のボラティリティで説明できることを示し,ファクター構造の有効性を確認した.また,高頻度データの情報をファクターを用いたモデルにおいて効率的に取り入れる方法を提案し,パラメータのサンプリングの効率性の観点等から有効性をシミュレーションデータ分析および実データ分析において確認した.これまで,多変量の資産収益率を扱う確率的ボラティリティ変動モデルではパラメータの推定がその次元の大きさから困難であるという問題があったが,推定するパラメータを節約できるファクター構造の有用性や,推定するための情報を増やす高頻度データを利用する方法の有用性を示したことで,そうした問題を解決することができる.これにより,複数の資産収益率を扱うポートフォリオ分析やリスク管理の分野により精度の高い統計モデリングを応用することができる.以上の結果について,2017年9月の国内学会(統計関連学会連合大会)や.2017年12月の国際学会(International Conference on Computational and Financial Econometrics),研究集会「高次元・高頻度データのベイズ計量経済分析」などの学会で発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究について,モデルの提案およびその有効性の検証をすることができた.シミュレーションデータ分析を通してモデルの推定方法自体の検証を行い,実データ分析を通してモデルと実世界との当てはまりを確かめることができた.これらの成果を通してベースとなるモデルの妥当性を確認できたため,さらなる拡張やモデルの応用性について検証を行うことができる.今後の研究のための基礎となる成果を達成できたため,研究計画を順序通りに遂行できているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はモデルの拡張と実データ分析をより応用に即した形で行う.まずモデルの拡張については,ファクターのレバレッジ効果をモデルに導入して実データ分析を行うことで,ファクターモデルがレバレッジ効果についてもパラメータ節約的な推定を可能にするかを検証する.次に,実データ分析を仮想的なポートフォリオ設計の形で行うことで,モデルが現実のポートフォリオ設計問題に利用できるかを検証する.具体的には,実データの期間を通して一日後のポートフォリオ設計をモデルを用いた株式収益率の予測を通して行い,そのパフォーマンスを見ることで,モデルがポートフォリオ設計の意味で有用な予測を与えることができるかを検証する.
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Research Products
(5 results)