2017 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中片麻痺の皮質ー視床ループの異常興奮を抑制するニューロフィードバック法の開発
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17J04792
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
土元 翔平 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | ニューロフィードバック / 脳波 / MRI / 脳卒中 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
実験系の構築を行うために、計測した脳波を解析用PCに取り込むためのシステム構築や、取り込んだ脳波を実時間で解析し、視覚情報によってフィードバックするためのプログラムの作成をおこなった。開発したニューロフィードバック法の有用性を検証するために、健常者を対象にニューロフィードバック法を介入した。単回介入による脳機能・構造的変化を評価するために、磁気共鳴画像法を用いて脳活動を計測した。対照群として偽ニューロフィードバック法の介入を設定した。 本研究では、脳機能的変化の同定をおこなうために、脳波に連関する脳領域の変化を評価する。そのために脳波と機能的MRIを同時に計測したため、脳波キャップを装着した状態でMRI撮像を実施した。先行研究にて報告されている解析方法では、脳波キャップによるノイズを取り切ることができなかった。そこで、まずS/Nが高い構造画像をもちいて解析プログラムを作成し、脳構造を評価した。 ニューロフィードバック法にて生体指標としている脳波を評価したところ、実験群は対照群よりも一次体性感覚運動野近傍の神経群活動を強く修飾したことが分かった。さらに、脳構造画像の解析において、訓練半球側の一次体性感覚運動野および両側の視床領域において、対照群を上回る構造変化が確認された。 脳卒中患者を対象に実験するために、電気刺激装置およびロボット装具を組み込み、4chの脳波計をもちいた簡便なシステムを構築した。開発した手法の安全性および有効性の検証をおこなうために、慢性期脳卒中患者1名を対象に実験した。1日40分、平日5日の訓練を2週間実施したところ、安静時に痙縮し指が屈曲していた状態の麻痺手が、訓練をするに伴い屈曲が緩和し、さらに訓練最終日では安静時に脱力し手指が伸展した状態にまで改善した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳波キャップを装着した状態での磁気共鳴画像の撮像によって、脳画像解析の通常の処理過程をおこなうと正しく認識されないということが起きた。しかしながら、その画像に対してマスク画像処理などの工夫を凝らすことで、正常に解析することができた。 そして、この画像解析によって申請者が開発したニューロフィードバック法を評価したところ、健常者に対して神経作用効果があるということがわかった。これらの研究は、研究協力先の病院において実施しており、先方の都合によりスケジュール通り実験が実施できない状況もあったが、予定していた通りの症例数で研究を実施することができた。さらに、脳卒中患者に対しても、開発したシステムをもちいて今年度中に実験することができたというのも大きな進展だと言える。そして引き続き、研究協力先で実験していくうえでの、説得できうる結果を出せたため、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに取得した脳機能画像の解析プログラムを開発し、開発したニューロフィードバック法が脳機能に与える影響の評価をおこなう。 また、引き続き脳卒中患者に対しても実験をおこなう。 これらのことを精査し、国際学会に発表するとともに国際誌への論文投稿をおこなう。
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Remarks |
(1)BMIに興味のある研究者・修士以上の学生、医療従事者を公募にて募集し、30名を対象に勉強会を主催した。
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Research Products
(4 results)