2018 Fiscal Year Annual Research Report
次世代無線通信システムにおける自己組織型リソース制御に関する研究
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17J04854
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神矢 翔太郎 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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Keywords | 強化学習 / 確率幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続いて、セルラネットワークの理論解析(ユーザスケジューリングが適用された上り回線セルラネットワークの確率幾何解析)を行った。ここで用いた手法は、確率幾何学と呼ばれるものであり、想定する無線通信システムについて、特定の配置に依存することのない特性を評価できる。これにより、様々な通信局の配置に対してシミュレーション評価を繰り返して特性を取得するといった煩わしいアプローチを取らずとも、通信性能特性の解析的評価が可能となる。昨今の無線通信システムの高機能化がもたらした設計自由度(パラメータ設定等)の増加によって、性能評価にかかる時間が指数関数的に増加する問題があるが、本研究はそれを大幅に効率化するものであり、社会的な意義は大きい。 上記テーマに加えて、本年度は新規テーマ「無線LANスループット改善のためのグラフ畳込みを用いたチャネル選択則の強化学習」にも取り組んだ。高密度な無線LAN利用環境下においては、効率的な周波数利用を促す無線リソース制御が重要である。特に無線LANのアクセスポイント(AP:Access Point)は、近傍の同一帯域を用いるAPと時分割的に動作するため、これを考慮したチャネル制御がスループットの改善に有効である。 これを行うにあたり、通常の最適化の枠組みでは、目的関数を明示的にデザインする必要がある。一方で、無線LANのスループットには複数の要因が複雑に関連しており、直接一般性のあるモデルを立てることが困難である。本研究では、強化学習を用いて、実際の経験をもとに、スループットを改善するチャネル選択則を獲得する方法を検討した。明示的なモデル化が困難なスループットという対象をも最適化しうる本枠組みは、今後の自律的なリソース制御の中でも重要な位置を占めると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1件目の研究テーマに関しては、その成果をジャーナルとして完成させ、IEEE Transactions on Wireless Communicationsに投稿中(修正要求を受けたのち修正済みのものを再投稿中)であり、研究は最終局面を迎えていると言える。 また、2件目の研究テーマは、研究課題においても述べられている自己組織的なリソース制御の一端を担うものでありながら、当初予定していたものとは違う方向への展開である。これは、当初の計画を進める中で至ったアイデアを具現化したものであり、その意味で計画以上の進展があったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
強化学習に基づくリソース制御に関して、理論的なフレームワークをブラッシュアップし、特性評価をPythonプログラムによって行う。一部の特性評価は既に実施済みであり、有効性が示される結果となっている。そのため、後は網羅的に評価を行い、研究内容の論文化に努める。論文誌は国内のものではなく、海外のもの、とりわけインパクトファクターの大きいIEEE Transactions系に投稿する予定である。
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Research Products
(5 results)